アルミニウム電析技術ALectro®

アルミニウム(Al)の電解析出(電気めっき)技術です。蒸着より厚く溶融めっきより薄いAlを様々な基材に被覆できます。金属、樹脂いずれの基材に対してもAl被覆を施せば、カラーアルマイト処理によって着色でき、塗装代替として利用できます。Alの耐食性・導電性・熱伝導性等を基材表面に付与する目的でも使用できます。

本ページに記載の特性値、写真、図表、評価等は当社試験データによる代表的な値であり、製品の品質を保証するものではありません。また、記載内容は予告なく変更することがございます。

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目次

アルミニウム電析技術ALectro®とは

ALectro®はアルミニウムを電解析出させる技術、すなわちアルミニウムの電気めっき技術です。
「ALectro(アレクトロ)」は、 アルミニウムの電気めっきの英訳(Aluminum electroplating)を組み合わせた造語です。

ALuminum
アルミニウムの
electroplating
電気めっき

アルミニウムは水溶液を用いた電解液ではめっきができないため、アルミニウムの電気めっきは難しいとされてきました。そこで当社は有機物を用いた電解液に着目して、アルミニウムの電気めっき技術ALectro®を開発しました。ALectro®を使えば、様々な基材の表面にアルミニウムを被覆することができます。

ALectro®による金属基材の外観変化

左:金属基材 右:Al被覆後

ALectro®で被覆した基材の断面

基材の面内方向に対して、柱状晶が垂直に並んだ構造をとります。

ALectro®が得意とする領域

ALectro®は、溶融めっきや圧延・クラッド箔と比べると薄く、スパッタリングや蒸着と比べると厚い膜厚領域が得意です。 基材が平板などの単純形状であれば容易に被覆でき、ある程度複雑な形状に対しても被覆が可能です。

各手法(ALectro®, 溶融めっき, 溶射)でAlを被覆した基材(Fe)断面の比較

また、ALectro®を用いると、他のアルミニウム被覆方法と比較して、緻密で均一な厚みのアルミニウム膜で被覆することができます。

左:ALectro® 中央:溶融めっき 右:溶射

ALectro®の基本仕様

項目 電析膜の物性など
純度 >99.0 mass%
電析可能な膜厚 3~100 μm
表面粗さ(Ra) 0.1~0.6 μm程度
体積抵抗 3.1 μΩ・cm(純Alと同等
電析可能な基材の材質 各種金属、一部樹脂
(実績有)金属:Mg, Fe, Cu, Al, Ti, Ni, Zn, SUS
樹脂:CFRP
基材の形状 単純形状(板、箔など):対応可 複雑形状:要相談
※純Al(1N30) : 3.0 μΩ・cm

ALectro®が実現する意匠性

ALectro®で被覆した基材の表面

ALectro®で被覆した基材の表面は、高級感のあるマットな質感で綺麗な白色を示します。マットな質感を示す理由は、膜表面の微細な凹凸によって、光が乱反射されるからです。

研磨処理をすれば、金属光沢を出すことも可能です。

ALectro®+カラーアルマイト断面模式図

カラーアルマイトと呼ばれる処理をすることで自由に色を付けることもできます。これにより、アルミニウムの金属的な質感を残しつつ、美しい発色を実現することができます。金属、樹脂いずれの基材に対してもアルミニウム被覆を施せば、カラーアルマイト処理によって着色することが可能です。
意匠性を高める方法は他にもいくつかありますが、ALectro®+カラーアルマイトは塗装レスにできるため、揮発性有機化合物(VOC)の削減や歩留まりの向上が期待できます。

アルマイト処理により形成した酸化被膜には開気孔があり、染料を吸着させることで様々な着色ができます。染料を吸着させた後は、封孔処理で染料を気孔内に閉じ込めます。

ALectro®+カラーアルマイトを施した基材の外観

全面に色を付けるだけでなく、文字や絵などをデザインすることもできます。

ALectro®が実現する耐食性

製品の材質はそのままに、ALectro®は、長い間お客様の製品を錆や劣化から守ります。
また、アルマイト処理など酸化被膜を形成する手法と組み合わせると、さらなる耐食性の向上が期待できます。

大気中で10年以上保管したSPCC(冷間圧延鋼板)+ALectro®の外観

アルミニウムを被覆していないSPCC (図左)の表面には、茶褐色の錆が存在しますが、ALectro®でアルミニウムを被覆したSPCC (図右)の表面には錆はありません。

ALectro®の機能性箔/フィルム

ALectro®を用いることで、箔/フィルム状の基材にアルミニウムを被覆することができます。
アルミニウムを被覆した箔/フィルムは、二次電池やコンデンサの集電箔などに適用することができます。

Alを被覆した銅箔の外観

熱処理前後のAl箔の破断強度と断面SEM像

また、ALectro®で形成したアルミニウム膜は電極から剥離することで、アルミニウム箔として使用することもできます。ALectro®で作製したアルミニウム箔は、熱処理をしても材料組織がほとんど変化せず、強度低下しにくいという特長があります。

熱処理前後のAl箔の破断強度
断面SEM像

ALectro®に関する技術文献

ALectro®の技術的内容についてもっと知りたい方はこちら↓

試作受付中/協業パートナー募集中

ALectro®は、電子デバイス、装飾品、輸送機器、音響機器などさまざまな業界・製品に適用できる可能性があります。

【想定用途例】
  • マグネシウム合金への耐食性付与
  • アルミダイカストへの意匠性付与
  • 樹脂フィルムへの導電性付与 など

試作依頼も受付中です。お気軽にお問い合わせください。

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持続可能な社会を支える高機能材料会社

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