工具鋼の加工方法
工具鋼の種類や旋盤加工を行う際のポイントなど詳しく解説

2022年10月6日 2025年6月30日更新

工具鋼の加工方法|工具鋼の種類や旋盤加工を行う際のポイントなど詳しく解説

工具鋼は、特徴や焼入れ硬度により分類や加工方法がそれぞれ異なっています。
この記事では、工具鋼を使用したいと思っている企業の担当者に向けて、工具鋼の種類や加工方法を詳しく解説します。
工具鋼を加工するうえで押さえておきたいポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。


1.工具鋼の特徴

工具鋼にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、工具鋼の硬度や靭性について解説します。

硬度

硬度は、工具鋼の硬さを表しています。工具鋼の種類によって、硬度はそれぞれ異なります。
硬度が高い工具鋼は摩耗に強く、耐久性が求められる金型などに使われます。
ただし、欠けやすいというデメリットもあるため、用途や目的にあわせて検討する必要があるでしょう。
たとえば、硬度が高い工具鋼は、切削加工を行う場合は高速加工や軽切削が適しています。

靭性

靭性とは、工具鋼のねばり強さのことです。工具鋼の靭性が高ければ、その分だけ衝撃や振動に強いとわかります。
そのため、欠けにくいです。ただし、靭性が高い工具鋼は硬度が低く、摩耗しやすいという特徴もあります。
靭性が高い工具鋼に切削加工を行う場合はたとえば汎用機械における低速加工が向いています。

2.工具鋼の種類

工具鋼としてはさまざまな種類があります。以下に工具鋼の種類を解説します。

炭素工具鋼(SK)

炭素工具鋼(SK)は、炭素を0.5~1.5%程度含んでいる工具鋼です。
合金元素を添加しておらず、200~300℃程度の低温で硬度が低下するという特徴があります。
この特徴を活かし、切削加工やハンドツールなどに炭素工具鋼(SK)が活用されています。
また、炭素工具鋼(SK)は、比較的コストを抑えて入手できる材質です。

合金工具鋼(SKS、SKD)

合金工具鋼は特殊工具鋼(SKS)とダイス鋼(SKD)があります。

特殊工具鋼(SKS)

特殊工具鋼(SKS)は、炭素工具鋼(SK)にタングステン、クロム、モリブデン、バナジウムなどの特殊元素を添加して作られた材質です。
炭素工具鋼(SK)と同じく、200~300℃程度の低温で硬度が低下します。
特殊工具鋼(SKS)は、主に丸ノコ、帯ノコ、プレス型、ねじ切りダイスなどに使用されています。
従来は熱処理によって変形する点が課題となっていました。
しかし、焼入れ後にワイヤカット放電加工を行うことでこの課題を解決できます。

ダイス鋼(SKD)

ダイス鋼(SKD)はさらに冷間ダイス鋼と熱間ダイス鋼に分けられます。

SKD11に代表され、焼入性と耐摩耗性に優れています。
性質を向上させるために、モリブデンやバナジウムなどが添加される場合があります。
主に60HRC前後の硬さでプレス成形の金型などに使用されます。

SKD61に代表され、冷間ダイス鋼に比べて硬さは低いですが、靭性や熱間強度のバランスが取れています。
650~700℃程度の溶けたアルミニウムを加圧鋳造するダイカストや高いもので1200℃程度に加熱した鋼材を成形する
熱間鍛造の金型などに使用されます。使用硬さは用途によっておよそ40~50HRC程度で使用されます。

高速度工具鋼(SKH)は、高炭素鋼にクロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、コバルトなどの合金元素を多く添加している材質です。
高速度工具鋼(SKH)は「ハイス鋼」とよばれる場合もあります。高い靭性があり、耐熱性も高いです。主に60HRC以上の硬さで金型の材料として使用されたり、切削工具や汎用工具に活用されたりしています。

高速度工具鋼(SKH)は成分的にタングステン系(18%前後のタングステンが添加)とモリブデン系(5%前後のモリブデンと6%前後のタングステンが添加)で分類することががあります。またコバルトが5%程度以上含まれているものはコバルト入りハイスと呼ぶこともあります。

また製造方法で溶製ハイス(鉄と合金元素を溶解し、鋳造にて鋼塊を製造してプレスや圧延機などで鋼材を製造。SKH51が代表)や粉末ハイス(粉末を製造し、ケースに入れて高温高圧で成形したものを鋼塊としてプレスや圧延機などで鋼材を製造。
SKH40が代表)に分類することもあります。

3.工具鋼の加工に使用する機械

工具鋼を加工するときは、さまざまな機械を使用します。ここでは、工具鋼の加工に使用する機械について解説します。

旋盤

旋盤は、金属を加工するための基本的な工作機械です。素材を回転させて刃物を当て、円筒状に金属を削り出します。
円柱や円錐などの加工に加え、ネジ加工や穴あけ加工にも対応しています。旋盤では、幅広い製品の加工が可能です。
たとえば、建設機械、航空機、自動車、家電住宅部品などさまざまなものが旋盤によって加工されています。

フライス

フライスとよばれる刃物を取り付けて金属を削る機械をフライス盤とよびます。フライス盤はミリングマシンとよばれる場合も多いです。
フライス盤の主軸の向きには複数の種類があり、立型フライス盤、横型フライス盤、万能フライス盤などがあります。
フライス盤は、平面、溝、歯車などの加工をする際に用いられます。

ボール盤

ボール盤は、穴あけ加工のために使われている工作機械です。主軸に取り付けたドリルを回転させて金属に穴を空けます。
ただし、加工する金属を回転させて穴を空けるタイプもあります。
ボール盤では穴あけ加工だけでなく、ねじ切り加工やリーマ加工なども可能です。

研磨機

研磨機は研削盤の一種であり、グラインダーとよばれる場合もあります。といし車を高速で回転させて金属を加工します。
切削加工が難しい硬度の高い金属でも加工が可能です。そのため、焼入鋼や特殊合金鋼などを加工する際に研磨が選ばれます。
表面を鏡のように仕上げる鏡面研削仕上げもできます。

4.工具鋼の加工におけるポイント

工具鋼の加工においては、さまざまなポイントがあります。以下でくわしく解説します。

高速度工具鋼は表面から加工する

高速度工具鋼は硬度が高いという性質があるため、加工の初めから注意が必要です。
加工条件を落として様子を見ながら加工を始めると、刃物のチッピングトラブルを防止できます。
ドリルにより穴を空ける場合も同様であり、最初は加工条件を落とさなければなりません。

高速ミーリングでは保持具を用いる

高速ミーリングとは、工具にかかる負担をなるべく小さく抑える切削方法です。
高速で工具を回転させるため、短い刃長で高精度の工具を使用する必要があります。
なお、焼ばめホルダを使用すると、安定的に切削しやすくなります。

5.まとめ

工具鋼の種類によって、硬度や靭性にそれぞれ違いがあります。
さまざまな分類も可能であるため、用途や目的を考慮して最適なものを選択しましょう。
工具鋼の使用にあたっては、加工のポイントも把握しておくとスムーズです。

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