鉄道車両用電線・ケーブル
それらは単に「電気を流す配線」ではなく、設置される場所や用途ごとに求められる役割や性能が大きく異なります。
当社は、鉄道車両の各部位・各回路の要求特性を踏まえ、用途に応じた車両用電線・ケーブルを長年にわたり提供して参りました。
また、世界各地で進む鉄道ネットワークの進展と近代化に伴う要求に応えるため、火災安全性の向上と、耐久性、軽量・省スペース化を両立する材料・構造開発を継続しています。
これらの取り組みにより、車両の省エネや、持続可能な鉄道インフラの構築に貢献します。
電線事業部
鉄道車両の中での電線・ケーブルの使われ方
鉄道車両には、非常に多くの電線・ケーブルが使用されています。
それぞれの用途に応じた特性を持つ電線・ケーブルを選定する必要があります。

| 区分 | 説明 |
|---|---|
| 主回路 | 車両の走行に必要な大電力を供給する回路(モータや主機器への電源) |
| 一般信号回路 | 制御・監視・通信などを行う低電力の信号系回路 |
| 特高回路 | 高電圧電源を扱う回路で、主に屋根上機器などに使用される |
| 基幹伝送 | 車両内外の情報を高速かつ確実に伝送する通信ネットワーク |
設置地箇所に応じた特性
台車-車体間や車両間に配線されるケーブルは、列車走行時の風圧や車両間の相対変位により、振動や繰り返しの屈曲を受けます。そのため耐震性および耐屈曲性に優れたケーブルを使用する必要があります。
台車-車体間

車両間

鉄道車両用電線・ケーブルのラインナップ
| 適用回路 | 電線品種 | 配線部位 | 構造 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ハロゲンタイプ | ハロゲンフリータイプ | ||||
| (在来線・新幹線) | (地下鉄・乗入れ) | ||||
| 特高圧回路 | WEP8 | NH-WEP8 | 固定配線 | 単芯シールド付きケーブル | 新幹線用 / 25kV |
| WEP8(W) | NH-WEP8(W) | 車体間渡り配線 | 単芯シールド付きケーブル | 新幹線用 / 25kV | |
| WEP7 | - | 固定配線 | 単芯シールド付きケーブル | 在来線用 / 20kV | |
| 主回路 | WL2 | HF-WL2 | 固定配線 | ||
| WLM2 | HF-WLM2/1500V HF-WLM | 車体間渡り配線 | 単芯ワイヤ | ||
| WLL2 | HF-WLC2/1500V HF-WLO | モーターリード | 単芯ケーブル | ||
| 一般信号回路 | C-WL1 | NH-C-WL1 | 固定配線 | 単芯ワイヤ | 軽量タイプ |
| N-RFH1 | HF-REP1™(TYPE-J) | 固定配線 | 単芯ワイヤ | 軽量タイプ | |
| WL1 | HF-WL1 | 固定配線 | 単芯ワイヤ | ||
| WV10□S | HF-WV10□S/NH-WP10□S | 固定配線 | 多芯一括シールド線 | ||
| WFHL10□S | NH-WEXO10□S | 固定配線 | 多芯一括シールド線 | 軽量タイプ | |
| 可動部 | RJPN | NH-RJPO | 車体間渡り配線 | 多芯ケーブル | |
| Z-SPN | NH-Z-SPO | 台車-車体間渡り配線 | 多芯各芯シールド線 | 速度発電機用 | |
| 機器内 | WV0 | HF-WV0 | 機器内配線 | 単芯ワイヤ | |
| C-WL1 | NH-C-WL1 | 機器内配線 | 単芯ワイヤ | ||
| 基幹伝送 | RailNS™ | RailNS(NH)™ | 固定配線 | 多芯一括シールド線 | イーサネットケーブル™ |
鉄道車両用電線の耐用年数および取扱いに関する注意事項
耐用年数
鉄道車両に使用される電線の設計においては、一般的に車体や台車などの主要構造物の想定使用期間を踏まえ、そのおおむね半分程度を基準として耐用年数を設定する考え方が用いられます。
一方、実際の使用条件下における寿命については、電線の劣化に影響を及ぼすさまざまな要因を考慮した上で判断されます。
例えば、屋内に敷設される配線(車内配線、電装箱内部配線、ダクト内配線など)においては、適切な環境下で使用されることを前提に、おおよそ20年程度を一つの目安として考えられる場合があります。
これに対し、屋外や可動部など比較的厳しい環境で使用される配線では、環境負荷や使用状況を考慮し、15年程度を目安として検討されることがあります。
ただし、これらはいずれも一般的な考え方であり、実際の寿命は使用環境や保守状況に大きく左右されます。
電線の劣化に影響を及ぼす主な要因
鉄道車両用電線の性能低下や寿命短縮には、さまざまな要因が関与します。代表的なものとして、以下のような影響が挙げられます。
- 電気的影響
過電圧や過電流の発生により、絶縁性能や電気特性が低下する場合があります。
- 水分の影響
浸水や湿気の影響を受けることで、材料の物理的変化や電気的劣化が生じることがあります。
- 機械的影響
衝撃、圧迫、屈曲、ねじり、引張、振動などの繰り返し負荷が、損傷や疲労の原因となることがあります。
- 温度条件の影響
高温または低温環境では、材料の物性が低下し、柔軟性や強度に影響を及ぼすことがあります。
- 化学的影響
油類や薬品類との接触により、材料特性の変化や電気的性能低下を招く可能性があります。
- 周囲環境による影響
紫外線やオゾン、塵埃の付着に加え、動物による損傷や微生物の繁殖などが、劣化を助長する場合があります。
- 施工・処理に起因する影響
端末処理、接続処理、防水処理などが不十分な場合や、外傷がある場合には、早期劣化につながることがあります。
なお、これらのこれらの要因は単独で作用する場合よりも、複数が重なって作用した場合に、劣化がより急速に進行する可能性があります。
保管期間に関する考え方
鉄道車両用電線の性能低下や寿命短縮には、さまざまな要因が関与します。代表的なものとして、以下のような影響が挙げられます。
未使用状態の鉄道車両用電線については、製造後約5年程度を一つの目安として保管期間を考慮することが一般的です。
ただし、この期間は、直射日光や風雨の影響を受けない屋内環境で保管されていること、および電線端部に対して適切な防水、保護処理が確実に行われていること を前提としたものです。
保管環境や取扱い状況によっては、性能低下が生じる可能性があるため、使用前には外観確認や必要に応じた評価を行うことが望まれます。
- 電線は、絶縁体を損傷すると絶縁特性が低下し、絶縁破壊に至ることがあるので、取扱い時には損傷させないよう丁寧に扱わなければならない。
- 電線の保管場所は、屋内保管とし、端部の防水処理を確実に行わなければならない。
- 電線は、敷設するときの曲げ半径が小さいと導体と絶縁体との剥離が生じたり、絶縁体に極度の歪みが加わり、絶縁性能の劣化を加速させ、絶縁破壊に至ることがあるので、配線時には電線の最小曲げ半径(電線仕上外径の4倍)以下にならないように布設しなければならない。
- オープンダクトなどでは、砂や石などの異物が収容している電線とダクトとの間に入り、走行中の振動によって電線の摩耗が促進される可能性があるので、異物の進入を防護したり振動によって電線が振れないような固定方法を採用することが望ましい。
- 電線が浸水した状態で使用されることが無いように電線管等には防水や水抜き孔等の処理を施すこと。
- 長距離移動の際はドラムを回転させない。
- 短距離移動の際はドラムに表示してある回転方向にのみ転がして良い。
- 回転中・回転後にケーブルの巻き緩みによる、巻き始め端が飛び出す可能性があるので注意すること。
- 輸送時にはしっかり荷台に固定する。
- 乱暴な取り扱いはしないこと。
- 小割板をはずす時はケーブルに外傷を及ぼさないように注意すること。
- 移動・保管の際、ドラムは必ず縦置きとし、横置きにしないこと。

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