新型トロリ線GT-SNNS170の開発と
JR四国・瀬戸大橋線への導入について
2023年11月6日
株式会社プロテリアル
株式会社プロテリアル(以下、プロテリアル)は、トロリ線の長寿命化を図るとともに管理・メンテナンス性を向上させた新型トロリ線「GT-SNNS170」を開発しました。また、本製品は、四国旅客鉄道株式会社(以下、JR四国)の瀬戸大橋線の一部区間へ導入されました。今後、瀬戸大橋線は架設系統設備全体の軽量化および長寿命化をめざして更新が行われる予定であり、従来から使用されている純銅トロリ線から、GT-SNNS170への張り替えが計画されています。
1.概要

一般的に、在来線のトロリ線には、「純銅トロリ線」が使用されてきました。純銅トロリ線は導電率に優れますが、鉄道のスマート化(自動化、保守管理の効率化など)や路線の長寿命化などを図るためには、トロリ線のさらなる高強度化、耐摩耗性が求められます。また、現在瀬戸大橋線は、純銅トロリ線を適用していますが、海上路線特有の過酷な環境下にあり、更新においては路線の長寿命化、保守管理の効率化などが求められています。

このたび、プロテリアルは、錫とインジウムを添加することで、80%以上の導電率を維持しつつも、純銅トロリ線に比べて耐引張荷重を20%以上強化した新形状の合金トロリ線GT-SNNS170を開発しました。GT-SNNS170は、耐摩耗特性に優れていることに加え、摩耗限度の位置に溝を入れる※ことで、摩耗状態の視認性に優れる構造としています。
GT-SNNS170は、JR四国の瀬戸大橋線の一部区間に導入されており、路線の長寿命化および張替周期の延伸が期待されています。
公称断面積 (mm2) |
品名 (記号) |
引張荷重 (kN) |
伸び (%) |
導電率 (%) |
|
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本開発品 | 170 | GT-SNNS | 71.2以上 | 3.2以上 | 80以上 |
純銅トロリ線 | 170 | GT | 57.8以上 | 3.4以上 | 97.5以上 |
2.効果

- 1メンテナンスコストの低減
現行の純銅トロリ線に比べ張替周期の延伸を実現し、特に摩耗が激しく張替周期が短い箇所で人件費・整備費におけるコストダウンが期待できます。 - 2メンテナンスの効率化
摩耗管理用の溝を活用し、トロリ線の摩耗を容易に把握できるようにすることで、メンテナンスを効率化します。
3.導入路線
2023年1月16日に、以下の路線の一部区間に導入されました。
線区 | 区間 | 全長 |
---|---|---|
瀬戸大橋線 | 岡山~瀬戸大橋~高松 | 71.8km |

1988年4月10日に全面開業した瀬戸大橋線は、2023年で開業35年を迎え、瀬戸大橋の橋梁部への負荷低減のため、架設系統設備の軽量化などの刷新が計画されており、今後、GT-SNNS170の本格導入が進められる予定です。
以上
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電線事業部 茨城工場 担当 蛭田 TEL 0294-42-5444
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コミュニケーション部 担当 車谷 TEL 080-2108-0159
- ※摩耗は下部から進行し、摩耗溝の減り方(なくなり方)で摩耗の進捗度を把握できる仕組み。