TNFD提言に基づく開示

TNFD提言に基づく開示(2026年9月30日)

1.TNFD提言への対応

 2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議において「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。これを受け、各国で生物多様性の保全に向けた戦略が進められる中、日本では2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定され、2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させるための計画が策定されました。

 当社グループでは「生態系保全」を重要な柱の一つとして掲げており、ステークホルダーとの協創を通じて環境課題を解決し、生活の質の向上と持続可能な社会を実現することをめざしています。また、日本経済団体連合会および経団連自然保護協議会が策定した「経団連生物多様性宣言・行動指針」に賛同し、「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」に参画するとともに、生態系保全への取組方針や事例を発信しております。このような生物多様性保全への取り組みを一層推進するため、当社ではTNFD※の開示枠組み(v1.0)に基づき、LEAPアプローチを用いて自然関連課題の分析・評価を行いました。

  • ※TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)。自然関連の依存・影響およびリスク・機会について、企業や金融機関によるリスク管理・情報開示の枠組みを策定するために設立された国際的なタスクフォースです。投資家・金融機関などに対し、意思決定に役立つ情報を適切に開示するための枠組みを提供し、自然の保全・回復に資する活動への資金の流れを促すことで、持続可能な経済・社会の実現をめざしています。2023年9月には開示枠組みの最終版(v1.0)を公表しました。

2.一般要件

 本情報開示における一般要件は下記のとおりです。

2-①マテリアリティの適用:

 当社はマテリアリティの特定にあたり、自然が当社グループの財務に与える影響と当社グループの活動が自然に与える影響の両面より分析・評価をしました。

2-②開示スコープ:

 今回の開示では直接操業の全事業を対象に優先地域の特定、依存・影響の評価を行い、優先地域として特定した拠点のうち「パワー&エレクトロニクスマテリアル」と「航空&産業アロイ」の2事業を分析対象としてリスク・機会の分析を行いました。今後は他事業やバリューチェーン上流・下流を対象として分析範囲を広げていく予定です。

2-③自然関連課題がある地域:

 直接操業の拠点を対象にWWF Water Risk FilterやWWF Biodiversity Risk Filter (WWF Risk Filter Suite v2.0)などを使用して要注意地域を特定し、また水使用量などのデータよりマテリアルな地域を特定した結果と合わせ、自然関連課題がある地域として優先地域となる拠点を特定しました。

2-④ほかのサステナビリティ関連の開示との統合:

 当社ではTCFD提言への対応に関しても情報開示を行っています。今回は個別にTNFD提言への対応に関して情報開示を行っていますが、気候変動問題と生物多様性問題は相互に関連する内容であり、またTNFDの情報開示枠組みはTCFDと重なる範囲があるため、今後は統合して情報開示することも検討する予定です。

2-⑤検討される対象期間:

 今回の開示では2030年時点を想定してシナリオ分析を行い、リスク・機会を特定・評価しました。

2-⑥先住民族、地域社会と影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント:

 当社グループは、「プロテリアルグループ行動規範」、それを補完する「プロテリアルグループ人権方針」において、人権の尊重について定め、事業活動に関わるあらゆる人々の権利を尊重し、侵害しないように努めることを基本姿勢としています。

 また、当社グループは、世界各国・地域の調達先から資材調達を行っています。社会的責任とその影響を自覚しつつ、公平で公正な調達活動を実践するため調達方針を定め、多くの調達パートナーの協力を得ながらCSRに配慮した調達に努めています。

 これらの取り組みにより、拠点が存在する地域社会やコミュニティへの影響やリスクを最小限にするよう努めています。

3.ガバナンス

3-①生物多様性保全・気候変動対策を含む環境推進体制

 当社グループでは、2010年4月に「環境保全基本方針」を制定し、グループ一体となって環境経営に取り組んでいく姿勢を明確にしています。

 生物多様性保全・気候変動対策を含む環境活動を推進するための会議体として、「グループ環境委員会」を設置しています。委員長は環境担当執行職、事務局をモノづくり技術本部環境戦略部とし、各事業部・事業所およびグループ会社の環境管理責任者が連携して活動を推進しています。グループ環境委員会では、環境関連規定の整備、環境負荷削減目標の設定、活動の適切性および有効性の確認などを行っています。

年1回開催されるグループ環境委員会では、毎年度の環境活動に関する方針・目標を定め、環境行動計画を審議・決定しています。生物多様性保全についても、当社グループ内の水使用量原単位改善率や廃棄物埋立率などの目標を定め、環境行動計画に基づき各製造事業所で省エネ活動や水使用量削減施策の推進、廃棄物量削減・リサイクル向上施策の検討を実施しています。さらに、前年度の環境活動の実績および当年度の数値目標、主な取り組みなどを共有することにより、継続的に活動の改善を推進しています。

 また、経営会議および取締役会において、それぞれ年2回の頻度で生物多様性保全・気候変動対策を含む環境課題への取り組み状況の報告および重要事項の審議および決定が行われます。

環境推進体制

推進体制における各役割

■ 環境担当執行職
モノづくり技術担当執行職が環境関連問題に精通した環境担当執行職として、グループ環境委員会を通して全体を統制する。

■ グループ環境委員会
当社グループ内の環境管理活動に関する方針、目標などを審議・決定する。

■ 統括環境管理責任者
事業部内の環境管理活動を統括する。

■ 環境委員会
各事業所の環境管理活動に関する方針、目標などを審議・決定する。

■ 環境管理責任者
各事業所の環境管理活動に責任を持ち推進する。

3-②ステークホルダーとのエンゲージメント

 当社グループは、企業理念および行動規範に基づき、人権尊重を重視したグローバルな事業活動を推進しています。この取り組みを明確にし、従業員やビジネスパートナーをはじめとするすべてのステークホルダーに対する責任を果たすため、プロテリアルグループ人権方針を策定しました。この方針では、国際人権章典および国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」に記された人権を最低限のものと理解し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デュー・デリジェンスをはじめ、適切な教育、当社グループが事業活動を行う地域や国の法令遵守など、国際的な人権の原則を尊重するための方策を追求していくことを明確に定めています。「プロテリアルグループ人権方針」の実践とともに、役員や従業員への啓発活動やグローバル・コンプライアンス・ホットラインの設置などに継続的に取り組み、人権侵害が発生しない企業風土づくりを推進しています。

 また、当社グループでは、環境保全活動に積極的に取り組んでいる調達パートナーから、環境負荷の少ない製品などを調達しています。1998年「グリーン調達ガイドライン」を発行し、地球温暖化防止、資源の循環的な利用、生物多様性や生態系の保全など、環境配慮の考え方を調達パートナーと共有しました。以来、最新の法令、化学物質規制に対応した改訂を重ねており、調達パートナーに最新の情報を周知しています。グリーン調達の推進には調達パートナーとの協働が不可欠であり、環境保全活動の組織的な取り組みと改善の継続的な実現をお願いしています。さらに、2023年1月に「プロテリアルグループ サステナブル調達ガイドライン」を発行しWEBサイトに公開しました。これは広くグローバルに認知されている最新の基準を踏まえつつ、人権の尊重と環境への配慮、公正取引と倫理、安全衛生や品質・安全性、情報セキュリティ、社会貢献など、企業の社会的責任として認識されている考え方を織り込んで作成したものです。調達パートナーにおいて明確な違反行為が判明した場合は、是正を要求する定めも設けています。

4.戦略

4-①分析・評価の概要

 当社ではTNFDが推奨しているLEAPアプローチを用い、当社グループの直接操業を対象として自然関連課題の分析・評価を実施しました。今回の分析ではまずLocateフェーズにてWWF Water Risk Filter (WWF Risk Filter Suite v2.0)などの分析ツールによる評価結果と当社グループの水使用量、売上高により優先地域の特定を行いました。次にEvaluateフェーズでは当社グループの全事業活動を対象にENCOREを使用して依存・影響の評価を行い、その結果に拠点の実態を考慮した補正を加えて重要な依存・影響の特定を行いました。続いてAssessフェーズではEvaluateフェーズで特定した重要な依存・影響よりリスク・機会の候補を洗い出しました。さらにLocateフェーズで特定した優先拠点のうち2拠点について、TNFDガイダンスで挙げられている4つのシナリオのうち「①一歩先行するシナリオ」と「③噛み合わない現状シナリオ」の2つで2030年を想定して分析し、候補の中から重要なリスク・機会の特定・評価を行いました。最後にPrepareフェーズではAssessフェーズで特定したリスク・機会の対応策を検討しました。

4-②Locateフェーズの分析・評価

 TNFDの開示枠組み(v1.0)に基づき、要注意地域またはマテリアルな地域に該当する拠点を特定し、それらの拠点を優先地域として特定しました。

 要注意地域は、まず当社グループの直接操業を対象にWWF Water Risk FilterとWWF Biodiversity Risk Filter (WWF Risk Filter Suite v2.0)を使用して分析しました。さらに、TNFDが要注意地域として定義している、①生物多様性の重要性が高い地域、②生態系の完全性が高い地域、③生態系の完全性が急速に低下している地域、④先住民、地域社会、利害関係者への利益を含む生態系サービスの提供にとって重要な地域、⑤物理的な水リスクが高い地域と関連のある指標※を抽出し、リスクレベルに応じて評点付けを行いました(例. ①:WWF Water Risk Filterの環境要因、WWF Biodiversity Risk Filterの保護/保全地域などの指標でMedium riskを1点、High riskを2点、Very high riskを3点として加算集計)。その結果、「广州市博邁立鋮旧水坑電子厂(中国)」「Proterial(India)Private Limited(インド)」「Proterial(Thailand)Ltd.(タイ)」「(株)プロテリアルの山崎工場(日本)」「Proterial Malaysia Sdn. Bhd.(マレーシア)」の5拠点を要注意地域として特定しました。

 マテリアルな地域は直接操業を対象に自然関連データである水使用量に加え、2024年度売上高と合わせて評点付けを行い、抽出しました。その結果、「(株)プロテリアルの安来工場(日本)」「(株)プロテリアルの茨城工場(日本)」「(株)プロテリアル金属の土浦工場(日本)」の3拠点をマテリアルな地域として特定しました。

  • ※抽出した関連のある指標
    WWF Water Risk Filter:
    1. 1Water Availability、2. Drought、3. Flooding、4. Water Quality、5. Ecosystem Services Status、
    2. 10Environmental Factors
    WWF Biodiversity Risk Filter:
    1. 2.2Water Condition、2.4 Ecosystem Condition、5.1 Land, Freshwater and Sea Use Change、
    2. 5.2Forest Canopy Loss、5.3 Invasives、5.4 Pollution、6.1 Protected/Conserved Areas、
    3. 6.2Key Biodiversity Areas、6.3 Other Important Delineated Areas、6.4 Ecosystem Condition、
    4. 6.5Range Rarity、7.2 Resource Scarcity: Food - Water - Air

    (参考)「How the WWF Risk Filter Suite can support the Taskforce on Nature-related Financial Disclosures: LEAP Approach(2024)」

■要注意地域とマテリアルな地域、および優先地域の定義:

要注意地域:生物学的に要注意な自然と自社の事業活動・資産が接している場所 マテリアルな地域:自社の重要な自然関連の依存、影響、リスク、機会がある場所 優先地域:「要注意地域」と「マテリアルな地域」の重複・包含関係を踏まえて設定

4-③Evaluateフェーズの分析・評価

 当社グループにおける全事業活動の自然への依存・影響を把握するため、ENCOREを使用して重要性の評価(5段階評価)を行いました。また、ENCOREの評価は一般的な事業活動での評価であるため、当社グループの実態を考慮して評価の補正を行いました。例えば、航空&産業アロイ(以下、(A&I)と記載)SBU(Strategic Business Unit)の「サイアロンセラミックス」製品製造では大気汚染防止法の特定施設として溶解炉などを保有している拠点がありますが、ばいじんやNOxなどの法規制値超過もなく、法規制値より厳しい自主管理値で管理しています。また、VOCやHAPなどの汚染物質の大気排出も確認されていません。そのため、自然への影響のヒートマップでは「GHG以外の大気汚染物質の排出」の評価をH(高い)からM(普通)へ変更しております。

 これらの結果をまとめたヒートマップを次ページに示します。今回の評価結果より、自然への依存では、H以上の評価はなく、自然への依存度が高い事業部はないことを把握しました。また、自然への影響では、パワー&エレクトロニクスマテリアル(以下、(P&E)と記載)SBUの「電子材」の製品製造や(A&I)SBUの「航空機エネルギー関連材」・「工具鋼・産機材」の製品製造において主にGHG排出により大きな影響を与える可能性があることを把握しました。

■自然への依存のヒートマップ:

■自然への影響のヒートマップ:

4-④Assessフェーズの分析・評価

 Locateフェーズで優先地域として特定した拠点、またEvaluateフェーズで特定した自然への大きく依存する・大きな影響を与える可能性のある事業部・製品製造を踏まえ、(P&E)SBUで「電子材」の製品製造・(A&I)SBUで「航空機エネルギー関連材」や「工具鋼、産機材」の製品製造をしている「(株)プロテリアルの安来工場(日本)」と(P&E)SBUで「電子材」製品製造をしている「(株)プロテリアル金属の土浦工場(日本)」の2拠点を分析・評価対象に選定し、Evaluateフェーズの評価結果よりリスク・機会の洗い出しを行いました。その際、生物多様性見える化マップやIBATなどのツールを使用し、周辺環境も考慮しました。

 また、シナリオ分析ではTNFDがシナリオ分析ガイダンスで2つの重要な不確実性として示している「x軸:生態系サービスの劣化度合い」と「y軸:市場/非市場推進力の一致」の2軸から形成される4つのシナリオのうち、以下2つで2030年時点を想定して分析を行いました。その際、「生態系サービスの劣化度合い」は2拠点の周辺環境について気象庁や各都道府県が公表している気象データおよび将来予測データなどを、「市場/非市場推進力の一致」はグローバル・国・地域における生物多様性や環境に対する方針および計画などをそれぞれ参考にしました。

■シナリオ分析の前提条件

対象事業:
(A&I)SBU、(P&E)SBU
対象拠点:
(株)プロテリアルの安来工場、(株)プロテリアル金属の土浦工場
対象年度:
2030年度

■想定したシナリオ条件

  • シナリオ①(一歩先行するシナリオ):
    • (x軸:生態系サービスの劣化度合い)気候変動が抑制され、生態系の劣化も緩やか。
    • (y軸:市場/非市場推進力の一致)社会や法規制、経済が生態系にとってポジティブな方向へ進行。
  • シナリオ③(噛み合わない現状シナリオ):
    • (x軸:生態系サービスの劣化度合い)気候変動が進み、生態系の劣化も進行。
    • (y軸:市場/非市場推進力の一致)社会や法規制、経済が生態系にとってネガティブな方向へ進行、または現状より変化なし。

 上記2拠点で洗い出したリスク・機会についての2つのシナリオにて「事業への影響」「発生可能性」でそれぞれ大・中・小の定性評価を行い、その結果から重要性の高いリスク・機会の特定を行いました。次ページの表に特定した重要性の高いリスク・機会、および主な対応策を示します。今回の分析・評価結果より、重要なリスクとして「カーボン・プライシングに関する規制強化による製造コスト、事業コストの上昇」「調達先工場において環境規制が強化され、対応コスト増加により原材料価格が高騰し、調達コストが増加」「資源枯渇や輸出規制などによる原材料価格上昇に伴う調達コスト増加」などを特定しました。当社グループの対応として各種省エネ施策の推進や現行プロセスでのリサイクル化などに取り組んでいきます。また、重要な機会として「脱炭素化の取り組みに対する顧客からの取引先選定評価の向上」などを特定しました。今後も取引先選定評価の向上に向けて脱炭素化の取り組みなどを推進していきます。

■重要性の高いリスク・機会、および主な対応策の一覧:

区分 タイプ リスク/機会内容 重要性 当社グループの対応
シナリオ① シナリオ③
リスク 物理 急性 台風・集中豪雨・高潮や洪水による浸水で操業停止・生産性低下・在庫損害 小~中 小~大 防水壁等の物理的防御、嵩上げ等の浸水を想定した設備配置等の豪雨対策を進めます。
移行 政策・規制 カーボン・プライシングに関する規制強化による製造コスト、事業コストの上昇 大 中~大 各種省エネ施策(照明LED化・高効率機器更新・導入)の推進と生産性向上施策により、年率1%以上のエネルギー原単位改善に取り組んでいます。今後は2030年の削減目標達成に向け、燃料転換や再生可能エネルギー設備の導入(太陽光パネルの設置)を積極的に進めていく計画です。
調達先工場において環境規制が強化され、対応コスト増加により原材料価格が高騰し、調達コストが増加 大 中~大 現行プロセスでのリサイクル化、リサイクル対応可能な製品開発に取り組み、リサイクル原料の利用拡大を進めます。
市場 顧客による脱炭素化要求に対する対応遅延や新規拡販の機会喪失による売上減 大 中 製造工程で発生するCO2の削減を省エネ、再エネ両面で推進し、顧客からの脱炭素化要求への対応を積極的に検討します。
資源枯渇や輸出規制等による原材料価格上昇に伴う調達コスト増加 中~大 大 「調達環境変化に対応する調達ソースの多様化」を主要施策に据え、「ソース多様化必要アイテム数」を重要管理指標(KPI)として管理しています。2020年時点で14アイテムでしたが、2030年度にはゼロにすべく活動を進めています。
資源枯渇や輸出規制等による燃料価格上昇に伴うエネルギーコスト増加 中~大 中 高効率機器の導入、再生可能エネルギーの導入、生産性の向上、設備の効率的な稼働、断熱・遮熱対策、燃料転換等によりエネルギー使用量削減に取り組んでいます。
技術 脱炭素要求に対応した製造プロセス(電化、代替燃料化)・設備導入に伴う事業のコスト増加 中~大 小~中 新製造プロセス導入にあたり、最新省エネ技術導入等、事業コストへの影響を軽減するよう設備仕様の検討を行います。
機会 資源効率化 高効率設備の導入によるエネルギー使用量の削減 中~大 中~大 高効率設備の導入によりエネルギー使用量を削減し、電力費・燃料費の削減を進めます。
市場 環境親和製品の開発促進・市場投入や環境に関する消費者・顧客の嗜好変化、規制・政策の後押し等による環境親和製品の売上増加 中~大 中 環境親和製品の開発リードタイムの短縮、コストダウンにより、対象製品の新規受注、シェア拡大を推進します。今後、さらなる伸長が期待できる環境親和製品(航空機の燃費効率の向上に貢献する航空分野製品、バッテリーほかへ利用される電池用部材(クラッド製品)等)の販売拡大を進めます。また、消費者・顧客の嗜好や規制・政策の変化に関する情報入手により当社の環境親和製品への反映を検討します。
評判 脱炭素化の取り組みに対する顧客からのお取引先選定評価の向上 大 中 お取引先選定評価の向上に向けて、再生可能エネルギーの導入やカーボンニュートラル燃料への転換等、CO2排出量削減を積極的に推進します。

5.リスク管理

 当社グループでは、ボトムアップアプローチに加え、トップダウンアプローチ、すなわちマネジメント(経営職および執行職)が経営視点で横断的・中長期的なリスクの抽出・統制をするERM(Enterprise Risk Management)体制を構築しています。CRCO(Chief Risk Control Officer)を委員長とするERM委員会(ERMC)が、リスクの識別、評価、優先順位づけなどのERMプロセスを実行し、当社グループ全体のERMを推進しています。リスクは「戦略リスク」「オペレーションリスク」「全社リスク」として分類し定義を明確化、抽出したリスクを影響度および発生可能性ごとに4段階で評価します。評価結果に基づきリスクマップを作成し、Highゾーンに位置づけられたリスクを中心に重要性や緊急性を考慮して優先リスクを選定し、対応策の実行とERMCでのモニタリングにより管理していきます。グループ環境委員会ならびにコーポレート部門や、各事業部門にて把握された気候変動や自然に関するリスクは、環境規制などに係るリスクの一つとして、ほかのリスクとあわせて、ERMの対象リスクとしてERMCによるモニタリングなどが実施されています。ERMCでは、リスクの対応状況やそのモニタリング結果が共有され、マネジメントにも報告されています。

■ リスクマネジメント体制

ERMプロセス
ERM体制

6.指標と目標

 TNFDが開示を推奨しているグローバル中核開示指標に基づく当社グループの測定指標、および関係する自然関連の目標を下記表に示します。今回開示できなかった指標と目標については、データ収集や分析を進めることで開示準備を進めていく予定です。

■ 指標と目標

測定指標
番号
自然変化への要因 指標 測定指標 2024年度実績 2030年度目標
- 気候変動 GHG排出量 ①GHG排出量
②GHG排出量削減比率(2015年度比)
①997千t-CO2 ※1
②64% ※1
①1,723千t-CO2
②38%
C2.1 汚染/汚染除去 排水排出 総排水量 8,533千m3 -※2
A3.0 資源の利用と補充 総水消費量と取水量 水使用量原単位の改善率(2010年度比) 34.9% 38.5%※2
C2.2 汚染/汚染除去 廃棄物の発生と処理 廃棄物埋立率 5.6% 8.5%
C2.3 汚染/汚染除去 プラスチック汚染 廃プラスチック類廃棄物有価物原単位改善(2022年度比)※3 2.5% 7.0%
C2.4 汚染/汚染除去 GHG以外の大気汚染物質総量 ①SOx大気排出量
②NOx大気排出量
①30t
②227t
-
(未設定)
  1. ※1ポートフォリオの見直しを含む各種施策の効果により2030年度目標よりも大幅に改善。
  2. ※2プロテリアルグループでは総排水量の目標設定なし。水関連の目標には水利用効率改善のため、(水使用量)÷(売上高、生産重量等の活動量)より水使用量原単位を算出し、その改善率を設定。
  3. ※3廃プラスチック関連の目標には資源有効利用のため、(再資源化量(再生利用量))÷(排出量)より廃プラスチック類廃棄物有価物原単位を算出し、その改善率を設定。