品質保証活動
品質保証活動について
当社は、2020年4月27日に公表した検査成績書への不適切な数値の記載など(以下、品質コンプライアンス問題)を受け、二度とこのような問題を起こさないよう再発防止策を最優先課題とし、全力を挙げてその実行に取り組んでいます。また、品質は当社グループが中長期的に企業価値を高め、持続的に成長していくための重要な経営課題であるという認識のもと、当社グループは、6つのマテリアリティの一つとして「品質をストロングポイントとする」を掲げています。お客さまに高い品質を安定してご提供するために、当社グループが一体となって、品質コンプライアンス問題の再発防止策を徹底的に実行し、品質を他社と差別化された当社グループの強みとできるよう取り組みを進めていきます。
品質委員会の設置

当社は2023年4月1日に外部専門家2名と当社最高品質責任者(CQO)で構成される品質委員会を新たに設置しました。これ以前は品質コンプライアンス委員会(活動期間2021年4月1日~2023年3月31日)として再発防止策の実施および効果の検証などを行ってきましたが、これらの活動を継承し、さらに、「品質活動全体に対する専門的見地からの指導・助言」をその活動に加え、品質委員会として設置したものです。
品質委員会の活動は、品質コンプライアンス活動を含む当社品質活動全体について客観的視点で評価し、「品質コンプライアンス問題」が再発しない仕組みづくりとマネジメント、風土の構築、品質管理・品質保証活動の活性化を目的としています。具体的には、品質保証本部が当社の「品質コンプライアンス問題」の再発防止活動や品質管理・品質保証活動について取りまとめ品質委員会へ報告し、品質委員会は当社活動に対する指導・助言を行います。
品質コンプライアンス教育
当社グループでは、毎年4月を「品質コンプライアンス強化月間」、4月27日を「品質コンプライアンスの日」とし、全国的な取り組みである11月の「品質月間」とあわせて、あらためて全社員が品質活動に向き合う機会としています。
従来「品質月間」は国内のみの活動でしたが、2023年度から海外拠点も対象に加え、グローバルな活動として品質コンプライアンス教育を推進しています。2023年度は、「至誠に基づく行動の実践」(4月)、「品質を私たちの強みに (QMS強化の重要性)」(11月)をテーマに動画による教育を実施しました。教育の有効性を評価するため、受講者アンケートにより理解度を継続的にモニターするとともに受講者からの意見を分析し、結果を品質委員会や経営会議にて報告しています。より効果的なコンテンツになるよう内容を継続的に見直し、品質コンプライアンス意識の向上のため教育を実施していきます。
品質重視に向けた風土改革・意識改革

品質コンプライアンスに関する社員の理解を高め、変革の実効性を確保するために、CEOやCQOをはじめとする経営層による品質コンプライアンスに関するメッセージ発信や品質に係るタウンホールミーティングを継続的に実施しています。タウンホールミーティングの目的は、品質コンプライアンス、さらには至誠に基づく行動の重要性を共有するとともに、現場の困り事、悩みなどを直接聴き、解決に向けて関係者を巻き込んで解決策を計画・実行することにあります。
検査システムのセキュア化
検査システムのセキュア化とは、検査工程で測定した値を記録用紙に手書きしたり、パソコンに入力したりと人が介在するのではなく、計測機器から自動的に測定値をパソコンに取り込み、そのデータを用いて自動的に製品の合否を判定し、お客さまに提出する成績書などを自動的に作成するまでの仕組みを構築することです。これにより、測定値の書き換えを防止するとともに、測定値の書き間違いや打ち間違いなどの作業ミスも防げます。また、測定値を記録紙に記載したり、パソコンに入力したりする必要がなくなるため、検査作業の効率も向上できます。
各拠点で測定器の更新や改良などを計画的に進め、2024年度中に測定機器の導入を完了させ、データの取り込みを2025年度上期までに完了させる計画で進めています。
さらに、目視による外観検査などデータが取得できない検査についても、画像や動画などをデジタル証跡として保存する仕組みを構築し、不適切行為に対する牽制とすることで、品質コンプライアンス問題の発生リスク低減を図っていきます。

International QA Meeting 開催
当社グループでは、「コミュニケーションの活性化」「品質保証・品質管理に関する情報・成功事例の共有化」「グローバルで一体感のあるQMS体制構築のための議論」を目的として、世界各地にあるグループ会社の品質保証責任者および国内の品質保証に関わる社員が出席するInternational QA Meetingを2021年11月より開催しています。
第5回となる2024年1月のInternational QA Meetingでは、東南アジア・南アジア、東アジア、北米・中米の3地域に分けて開催し、各拠点で推進している品質活動や、プロセスの改善などについて6つの事例を共有し討議を行いました。今後も、グローバルな品質対話の場としてInternational QA Meetingの開催を継続し、当社グループ全体の品質活動を活性化していきます。
品質ヘルプデスク設置
社内での品質に関する悩みを安心して相談できる品質ヘルプデスクを、2022年6月に設置しました。職場での対話や相談を重ねても判断に迷う場合などに品質保証本部が窓口になり、アドバイスや問題解決を図ることでプロテリアルグループ内の品質活動に関する理解を高めていきます。