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超極細銅合金線とその応用製品の発明
令和4年度 全国発明表彰「発明賞」を受賞


日立金属株式会社

 日立金属株式会社(以下 日立金属)の「超極細銅合金線とその応用製品の発明」(発明者 黒田 洋光、黄 得天、岡田 良平)が、公益社団法人 発明協会主催の全国発明表彰において、「発明賞」を受賞いたしました。表彰式は、6月30日(木)にオークラ東京にて行われる予定です。

1.応募名称

 超極細銅合金線とその応用製品の発明(特許第4143086号)

2.受賞

「発明賞」:日立金属株式会社   機能部材事業本部 電線統括部 黒田 洋光

                      機能部材事業本部 電線統括部 黄 得天

       株式会社茨城テクノス 電機材製造部            岡田 良平

3.発明概要

写真:プローブケーブル
プローブケーブル

 超極細銅合金線とその応用製品(医療機器用のプローブケーブルをはじめとしたケーブル)は、胃カメラや超音波診断装置などの医療分野で使われ、さらなる高精細画質の実現と人体へのストレス低減が求められています。
 このニーズに応えるため、医療機器用のプローブケーブルを構成する極細同軸ケーブルの導体として、従来品(当社NN合金(銅錫インジウム合金)、線径:0.016mm)よりも細い超極細銅合金線(線径:0.013mm以下)の研究・開発を行いました。
 一般的に、線径が細くなると破断しやすくなるだけではなく、電気も流れ難くなる傾向にありますが、本発明では、超極細銅合金線の導体において銅に銀を1~3重量%の濃度で含有させた銅銀合金を採用しました。そして、銅銀合金を超極細に伸線した後の特殊な熱処理によって金属組織のひずみを制御することで、従来では得られなかった強度と導電性を高い次元で兼備する超極細銅合金線を実現しました。
 この超極細銅合金線を極細同軸ケーブルに用いた場合、高い強度特性と導電性を維持したまま従来比で約20%の細径化(例:0.205mm→0.165mm)が可能となり、この極細同軸ケーブルを用いた多心ケーブルでは、従来比で約30%の細径化を実現しました。これらにより医療機器の低侵襲化、高精細画像化や操作性の向上を図ることが可能となり、患者の負担軽減に貢献することが期待できます。さらには、スマートフォン、ウェアラブル端末といった情報機器などの信号伝送用ケーブルとしての利用も見込まれており、これら社会のニーズに広く応えてまいります。

以上

【報道機関からのお問い合わせ】
日立金属株式会社 コミュニケーション部 担当 車谷 TEL 080-2108-0159

《参考資料》

■超極細銅合金線の外観

写真:超極細銅合金線の外観

■極細同軸ケーブルの断面(従来比で約20%の細径化を実現)

写真:極細同軸ケーブルの断面(従来比で約20%の細径化を実現)

■導体の特性

写真:導体の特性

《用語》

  • 低侵襲化:身体におよぼす物理的負担や影響を低減していくこと。