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マルエージング鋼の製造方法の発明
平成28年度 全国発明表彰「特許庁長官賞」を受賞

2016年5月26日
日立金属株式会社

日立金属株式会社(以下、日立金属)の「マルエージング鋼の製造方法の発明」(発明者 原 顕一郎、高尾 秀実、三嶋 節夫、藤田 悦夫)が、公益社団法人 発明協会主催の全国発明表彰において、「特許庁長官賞」と「発明実施功績賞」を受賞いたしました。表彰式は、6 月15 日(水)にホテルオークラ東京にて、常陸宮殿下、同妃殿下ご臨席のもと行われる予定です。

1.応募名称

マルエージング鋼の製造方法の発明(特許第4692282 号)

2.受賞

「特許庁長官賞」
日立金属株式会社 高級金属カンパニー 原 顕一郎
高級金属カンパニー 高尾 秀実
高級金属カンパニー 三嶋 節夫
高級金属カンパニー 藤田 悦夫
「発明実施功績賞」
日立金属株式会社 代表執行役 執行役社長 髙橋 秀明

3.発明の概要

写真:CVT ベルト材

マルエージング鋼は、高強度と高靱性を兼ね備えた鋼で、高い信頼性が求められる航空機部品やロケット部品、自動車エンジン部品に使用されています。本発明は、マルエージング鋼に含まれる非金属介在物(以下、介在物)を極めて微細に制御できる鋼塊の製造方法に関するものです。
鋼塊の溶解工程で生成される介在物は、組成、形状、サイズによって疲労強度などの機械的特性を劣化させる要因として知られています。介在物を低減する方法として、真空環境下で溶解工程を二度にわたって行う真空二重溶解という方法があります。しかしながら、主要成分にチタンを含むマルエージング鋼においては、窒化チタン(TiN)の介在物を除去、あるいは微細化することが困難でした。
こうした中、日立金属では、介在物元素のひとつであるマグネシウム(Mg)を積極的に添加することで、TiN 介在物を微細化し、マルエージング鋼の疲労強度を大幅に向上させることに成功しました。一次溶解中にMg を添加することで溶鋼内に酸化マグネシウム(MgO)を核としたTiNを形成させ、その後、真空再溶解することでMgO を除去するとともにTiN を微細化するものです。これにより従来問題となっていた介在物起因による材料の破断の問題も大幅に低減を実現しました。
本発明を適用して得られた日立金属のマルエージング鋼は、自動車の燃費向上につながる無段変速機(CVT)の金属ベルトに用いられており、変速機の性能と信頼性向上に貢献しています。

以 上

【報道機関からのお問い合わせ】
日立金属株式会社 コミュニケーション部 担当 吉原 TEL 03-6774-3073