一部の中国ネオジム焼結磁石メーカーによる日立金属のネオジム焼結磁石特許及び当該特許のライセンスに関する情報発信について
2015年11月18日
日立金属株式会社
日立金属株式会社(以下「日立金属」といいます。)では、昨今、中国の一部のネオジム焼結磁石メーカーが、メディアを通じて、日立金属の保有するネオジム焼結磁石特許及び日立金属による当該特許のライセンスについて、事実と異なる情報発信を行い、ネオジム焼結磁石事業に係わる多くの関係者に大きな誤解を生じさせていることを深く憂慮しております。
これら一連の情報発信が日立金属、関連特許ライセンシー及びお客様にもたらす負の影響を除去し、その適法な権利と利益を保全するために、日立金属は、上記情報発信に対する自社の認識及び考え方を説明いたします。
1. 日立金属のネオジム焼結磁石特許について
日立金属は、長年にわたり、ネオジム焼結磁石の研究開発及び生産に力を注ぎ、継続的に設備投資や開発投資など経営資源の投入を行ってまいりました。現在、日立金属は、世界において 600 件余りの有効なネオジム焼結磁石関連特許を保有しています。これらの特許は、成分特許と工程技術特許の両方を含んでおり、ネオジム焼結磁石の生産プロセス全体をカバーしています。これらの高品質の特許群は、日立金属のネオジム焼結磁石業界におけるコアコンピタンスの一つです。
昨今、中国のネオジム焼結磁石メーカー7 社により構成される『希土類永久磁石産業技術革新戦略連盟』(以下「連盟」といいます。)は、メディアを通じて、「米国特許商標庁に日立金属の 2 件のネオジム焼結磁石特許について無効審判を請求し、米国特許商標庁はすでに無効審判を行った」という情報発信を繰り返しています。
連盟による一連の情報発信の内容は、事実関係と大きく乖離し、人々に対して、あたかも米国特許商標庁がすでに日立金属の当該 2 件の特許を無効とする最終決定を下したと誤解させるものであり、日立金属、関連特許ライセンシー及びお客様の適法な権利と利益を不当に損なうものです。実際のところ、前述した米国特許商標庁の裁定は、日立金属が特許無効の申立てに対する反論意見を提出する前に米国特許商標庁が当該特許の再審査を決定する際に勘案した暫定的な判断に過ぎず、当該申立てによる再審査の対象も、当該 2 件の特許全体ではなく、当該特許を構成する一部のクレームに過ぎません。
現在、日立金属は、上記申立てに対する反論意見を米国特許商標庁に提出し、当該特許を構成する一部のクレームの無効について全面的に争っています。本件事案は、米国特許商標庁において依然審理中であり、当該 2 件の特許を構成する一部のクレームが有効か否かについては確定していません。
米国特許商標庁の最終決定は 2016 年以降に下される見込みです。米国特許商標庁のこれまでの法執行をみると、一旦下した暫定的な判断を最終決定の段階で覆す例もめずらしくありません。
仮に、当該 2 件の特許を構成する一部のクレームが無効と最終決定されたとしても、当該 2件の特許そのものが無効になるわけではなく、また、当該 2 件の特許を脇に置いても、日立金属のその他の 600 件余りの特許の有効性には何ら影響はありません。現に、ほぼ同時期に米国特許商標庁に申し立てられた、ある一つの成分特許に対する査定系再審査請求において、米国特許商標庁は、当該特許の有効性を再確認しています。日立金属は、今後も引き続き、具体的な事案毎に、是々非々の観点から、自社、関連特許ライセンシー及びお客様の適法な権利と利益の保護に努めてまいります。
同時に、連盟は、「日立金属はその保有する特許が『不可欠ではなく』、ただ単に商業目的のために誇大宣伝行為を行っていることを認めている」と強調していますが、そのような事実はなく、日立金属のネオジム焼結磁石特許は、ネオジム焼結磁石の安全かつ高効率な商業生産にとって、非常に重要な役割を有しているものと確信しています。
2. 日立金属のネオジム焼結磁石特許ライセンスについて
連盟の一部の構成メンバー企業が、日立金属が連盟の構成メンバー企業に対してネオジム焼結磁石特許をライセンスしていないことをもって、寧波市中級人民法院に独占禁止法違反(市場支配的地位の濫用)に基づく民事賠償請求訴訟を提起しました。
しかしながら、日立金属は、特許権者として、特許ライセンスを許諾するか否かを選択する自由を有しており、その選択は正当な特許権の行使に該当します。日立金属が連盟の構成メンバー企業に対してネオジム焼結磁石特許をライセンスしていないという事実は、連盟が主張する特許権の濫用ではなく、ましてや市場支配的地位の濫用行為などではありません。
また、日立金属は、これまで一貫して、ネオジム焼結磁石特許のライセンスを求める企業に対して真摯に対応してきました。現在、日立金属は、当該企業の生産規模、技術水準及び双方の誠実な交渉結果を総合的に勘案し、8 社の中国企業を含む計12社のネオジム焼結磁石メーカーに対して、ネオジム焼結磁石特許のライセンスを許諾しており、上記12社を含むネオジム焼結磁石メーカー全体の生産能力は、ネオジム焼結磁石市場全体の需要を上回っています。
このほか、連盟を構成するメンバー企業は、「自社の生産工程及び技術を有しており、日立金属の特許技術を侵害していない」と何度も対外的に公表している一方で、寧波市中級人民法院に提起した上記民事訴訟においては「日立金属の特許は必須特許的な存在だ」と何度も主張するなど、明らかに内容の矛盾する見解を主張しています。
これに対しても、日立金属は、進行中の上記民事訴訟において、正当かつ適正に自社の主張を展開し、自社、関連特許ライセンシー及びお客様の適法な権利と利益を保全していきます。
以上のとおり、中国の一部のネオジム焼結磁石メーカーが、メディアを通じて、日立金属の保有するネオジム焼結磁石特許及び日立金属による当該特許のライセンスについて発信している情報は、事実と大きく異なります。
日立金属は、今後も事実と異なる情報発信に対し、正当かつ適正に自社の主張を展開し、関連特許ライセンシー及びお客様の適法な権利と利益の保全に努めていきます。
そして、当社が長年にわたりネオジム焼結磁石の研究及び発展に注力し、ネオジム焼結磁石産業の秩序ある持続的な発展に取り組んできたこと、また、日立金属が中国の「特許法」及び「独占禁止法」を尊重し、かつ遵守してきたこと、そして、司法手段を通じて連盟との紛争を公正に解決していく所存であることを、ここに表明いたします。
以 上
【本件に関するお問い合わせ先】
コミュニケーション部 TEL 03-6744-3071