当社特殊鋼事業は、工具鋼、産機材、電子材に加え、航空機・エネルギー材における成長戦略を展開し、グローバル市場での成長をめざしています。その中で、航空機・エネルギー材の事業拡大とともに重点施策として取り組んでいるのが、海外市場における工具鋼の拡販です。
これまで当社工具鋼「ヤスキハガネ」は、高級鋼に特化し高付加価値材料として国内市場においてトップクラスのポジションを有してきました。北米市場においても最終製品の高付加価値化や生産効率向上に貢献する材料としてお客様からのニーズは高まりつつあります。しかしながら、北米市場における工具鋼専門の流通子会社を持っておらず、拡販に向け切断加工拠点および販売ネットワークの確保が急がれていました。
Diehl 社は、米国・オハイオ州シンシナティに位置し、1926 年の創業以来、様々な顧客ニーズに適した工具鋼の切断加工サービス及びWeb 販売を含む販売ネットワークを強みとし、自動車関連を中心とする顧客基盤を有しています。
今後、米国における当社工具鋼のニーズはますます高まっていくことが予想され、この成長機会を確実なものとしていくためには、Diehl 社が有する工具鋼流通会社としての事業資産を獲得し、自動車生産の裾野が広い北米市場における基盤構築を行うことが不可欠との判断に至りました。
これからも、材料技術・材料開発力を高め、市場やお客様が期待する新たな製品やサービス・ソリューションを提供することで、顧客基盤の拡大を図り、グローバル市場での持続的成長をめざします。

HMA は、同社100％出資の工具鋼流通子会社Diehl Tool Steel, Inc.（以下、DTS）を設立、Diehl社の資産はこのDTS へ譲渡されます。
DTS は、Diehl 社の資産を活用し、北米市場における当社工具鋼の切断加工含む流通サービスの拠点として機能させるとともに、販売ネットワークを確保し拡販を進めます。
なお、効力発生日は、2015年11月2日を予定しています。

当社は、DTS の流通サービス機能を軸として、自動車産業が集積する北米市場において工具鋼の拡販を進めます。顧客基盤の拡大を加速するとともに、当社及びHMA とのシナジー効果も追求し、米州における日立金属グループとしての拡販効果を高めます。

また、Diehl 社の経営陣は、そのままDTS に移り、その経営にあたります。