低静電容量の医療機器用極細同軸ケーブルを開発
2015年9月28日
日立金属株式会社
日立金属株式会社は、このたび、単繊維化したフッ素樹脂を絶縁体に用いることにより、低静電容量※1の医療機器用極細同軸ケーブルを開発しました。低静電容量同軸ケーブルの当社最細径品と比較し、外径を約14%低減致しました。超音波診断装置や内視鏡などの医療機器のさらなる操作性向上、高画質化に貢献します。
1.背景
同軸ケーブルは、内部導体、絶縁体、外部導体、ジャケットから構成された電線で、信号の伝送品質が高く、耐ノイズ性に優れており、医療機器や携帯端末、FAなど幅広い分野で使用されています。特に医療用途においては、医療機器操作時の負荷低減や体内に挿入する際の患者の負担軽減のために、軽量化や細径化が求められます。
近年、超音波診断装置や内視鏡などの医療機器の高性能化により、診断画像もますます高画質化しています。このため、医療機器用同軸ケーブルには、より優れた伝送品質を有する低静電容量で、かつ細径であることへのニーズが高まっています。
2.概要

同軸ケーブルの断面写真
このたび開発した医療機器用極細同軸ケーブルは、単繊維化したフッ素樹脂を絶縁体に用いることにより、静電容量の低容量化とケーブルの細径化を両立させた同軸ケーブルです。押出により発泡フッ素樹脂を絶縁体として被覆していたこれまでの構造に対し、単繊維化したフッ素樹脂を絶縁体として内部導体上に撚り合わせる構造としています。これにより従来の押出では不可能であった超細径かつ薄肉の発泡絶縁体と同等の比誘電率※2を有する絶縁体を、単繊維化したフッ素樹脂を撚る事により実現したものです。
本開発品により、超音波診断装置や内視鏡などの医療機器のさらなる操作性向上や高画質化が可能となります。
今後も当社は、医療機器用電線・ケーブルのさらなる製品開発を行い、先端医療の進化に貢献します。
なお、10月7日(水)から10日(土)まで千葉県・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2015」の日立金属ブース(ブースNO.5K63)にて本製品をご覧いただけます。
■特長
- 1従来低静電容量同軸の最細品と比較し、外径を約14%低減
- 2従来高静電容量同軸の類似外径品と比較し、10MHzでの減衰量を約10%低減
3.量産
開始 : 2016年度(予定)
生産拠点 : 日立電線ファインテック株式会社、日立電線(蘇州)有限公司
4.特許
出願済み
以上
【お客様からのお問い合わせ】 日立金属お問い合わせフォーム:電線・ケーブル(エレクトロニクス用)
【報道機関からのお問い合わせ】 コミュニケーション部担当吉原TEL 03-5765-4082
<補足説明>
■開発品と従来品の外径・特性比較
開発品 | 従来品 | ||
---|---|---|---|
48AWG※3 | 46AWG | 46AWG | |
同軸ケーブル外径 | 0.215mm | 0.250mm | 0.195mm |
128芯ケーブル外径 | 3.8mm | 4.3mm | 3.5mm |
静電容量(at 1kHz) | 70pF/m | 60pF/m | 120pF/m |
減衰量(at 10MHz) | 1.30dB/m | 0.85dB/m | 1.45dB/m |
減衰量(at 50MHz) | 1.80dB/m | 1.25dB/m | 2.35dB/m |
±90度屈曲(R=2mm) | 50万回≦ | 50万回 | 50万回≦ |
- ※1静電容量とは、絶縁された導体に蓄えられる電荷の量のことです。一般的に単位長さあたりの静電容量が小さいほうが、伝送品質が優れます。
- ※2比誘電率とは、絶縁材料の電気特性をしめす指標のひとつです。比誘電率が低い材料を使うほど静電容量を低減できます。
- ※3AWGとは、 American Wire Gaugeの略で、導体サイズを表します。