アモルファス金属リサイクル施設稼働
2013年2月28日
日立金属株式会社
日立金属株式会社(本社:東京都港区、社長:藤井博行、以下 日立金属)は、アモルファス変圧器で使用されているアモルファス金属製コアのリサイクルプラントを島根県松江市に設置し、4月から本格稼働いたします。生産されたアモルファス金属の原料は、当社メトグラス安来工場(島根県安来市)で再溶解して利用することが可能であり、循環型ビジネスモデルの構築をいたしました。
1.背景
アモルファス金属は、結晶構造組織を持たない金属で、溶解した金属を結晶構造組織となる前に急速に冷やすことで生産します。優れた磁気特性や機械的特性を示すことから、電力配電用変圧器用コア、電子・電気回路用磁気コア、金属接合用材料として採用されています。日立金属は、このアモルファス金属のトップブランドであるMetglas™を世界に向けて展開しています。
アモルファス金属をコアに用いるアモルファス変圧器は、電磁鋼板をコアに用いた変圧器と比較して待機電流の損失を約1/3※1に抑えることが可能で、省エネルギー化にとりくむ北米や日本で採用が開始されました。近年ではインフラ整備が急速に進む中国やインドで積極的に採用されています。日本国内の変圧器が全てアモルファス変圧器に転換されると、その省エネルギー効果は、100万KWの発電所約2基分※2に相当すると試算され、日本のエネルギー問題解決の一助になるものと考えています。
変圧器の寿命は20~30年程度であることから、約20年前から普及が始まった北米や日本で、アモルファス変圧器の廃棄が本格化する見込みです。しかし、アモルファス金属製コアは、その化学成分のため、一般鋼材へのリサイクルが難しいという問題がありました。さらに機械的強度が高く、積層構造にもなっているため、一般的なスクラップ用リサイクル設備での処理もできませんでした。また、環境問題への関心が特に高い日本では、リサイクルできないことがアモルファス変圧器普及の課題にもなっていました。
2.概要
日立金属は、機械的強度が高く、積層構造になっているアモルファス金属製コアを対象とした独自プロセスを考案し、リサイクル技術を開発いたしました。その技術を用いたリサイクルプラントを島根県松江市に設置し、4月から本格稼働いたします。リサイクルプラントでは、アモルファスコアの破砕、磁選、洗浄、乾燥を行い、アモルファス金属の原料を生産します。
生産されたアモルファス金属の原料は、当社メトグラス安来工場(島根県安来市)で再溶解して利用することが可能であり、循環型ビジネスモデルを構築いたしました。現在のアモルファス金属の需要は、中国をはじめ国内でも堅調に推移しており、リサイクルプラントで生産したアモルファス金属の原料は、全量を新しいアモルファス金属として出荷します。
今後は、アモルファス変圧器の廃棄の本格化にあわせて、リサイクルプラントの能力を増強することを検討します。本取り組みより、省エネルギーなアモルファス変圧器の世界的な普及促進に努め、省エネルギー社会の発展に貢献してまいります。
3.リサイクルプラント概要
(1)設置場所 | 島根県松江市 |
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(2)処理能力 | 50トン/月 |
(3)稼働開始 | 2013年4月 |


以上
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コミュニケーション室 担当 南 TEL 03-5765-4079
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- ※1日立評論 第93巻 第2号、P76(2011)
- ※2日立金属の試算による。
Metglas™は、日立金属グループの米国・Metglas社の商標です。