「自動車エンジンの鋳物製エキゾーストマニホールド向け
オーステナイト系耐熱鋳鋼の開発と適用」が
令和7年度 素形材産業技術表彰「奨励賞」を受賞
2025年12月16日
株式会社プロテリアル
株式会社プロテリアル(以下、プロテリアル)の「自動車エンジンの鋳物製エキゾーストマニホールド向けオーステナイト系耐熱鋳鋼の開発と適用」が、一般財団法人 素形材センター主催の素形材産業技術表彰において「奨励賞」を受賞しました。
1.受賞
「奨励賞」
株式会社プロテリアル 素材研究所鋳造技術グループ 研究員 波戸 友徳
株式会社九州テクノメタル 開発部 課長 北原 耕一
2.背景
自動車エンジンの排気系部品であるエキゾーストマニホールドは、エンジンから排出される高温ガスにさらされるため、極めて高い耐熱性と耐久性が求められます。近年、自動車の燃費改善や排ガス規制対応のため、エンジンの高効率化が進み、排気温度はさらに上昇しています。そのため、従来材では熱疲労や鋳造欠陥、加工性の問題が顕在化し、製品寿命や生産性に大きな影響を与えていました。
従来広く使用されてきたオーステナイト系耐熱鋳鋼(18Cr-8Ni系耐熱鋳鋼)は、耐熱性には優れるものの、鋳造時にひけ巣※が発生し内部欠陥が発生しやすいこと、さらに切削加工性が低いため、量産工程で工具寿命が短くなるという課題がありました。こうした背景から、耐熱性を維持しつつ、鋳造性・加工性、かつ低コストの新材料の開発が求められていました。
3.概要

プロテリアルは、ハーキュナイト®シリーズの一つとして、ニオブ(Nb)や硫黄(S)を適量添加した新開発のオーステナイト系耐熱鋳鋼を開発しました。この材料は、従来材と同等の耐熱性を確保しながら、鋳造時のひけ巣発生を抑制し、切削加工性を大幅に改善しました。さらに、高価なクロム、ニッケル、タングステンの使用量を減らすことにより、材料費を削減し、低コスト化を実現しています。
開発した鋳物製エキゾーストマニホールドは2024年4月からピックアップトラックのエンジンに搭載されており、2025年4月までの累積生産量は約2,000トンに達します。本開発は、自動車部品の高性能化とコスト低減を両立させる優れた技術として高く評価され、今回の受賞につながりました。
以上
- ※ひけ巣:鋳造品の内部に発生する空洞欠陥の一種で、凝固過程で金属が収縮する際に、溶湯の供給不足によって生じ、製品の強度や気密性を低下させる原因となる。
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コミュニケーション部 担当 井上 TEL 050-3664-9519
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ハーキュナイトは、株式会社プロテリアルの登録商標です。