製品

優れた切れ味とさびにくさを両立した画期的刃物鋼
あいがみ®」の販売を開始

2025年12月9日
株式会社プロテリアル

 株式会社プロテリアルは、高い硬度と耐食性を兼ね備える画期的な刃物鋼について、量産体制を構築し、この度、製品名「藍紙」として販売を開始しました。藍紙は、プロの料理人が望む切れ味を持ちながら、さびにも強い包丁を実現する素材として開発されました。この高い特性は、高級包丁の他にも切れ味とさびにくさが同時に要求される医療用メス、カミソリ用替刃、アウトドアナイフなど幅広い用途においても発揮され、優れた性能が期待できます。

1.背景

 プロの料理人を中心に使われている高級包丁の素材は、切れ味を特に重視し、高い硬さをもつ高炭素鋼(プロテリアル製品名では「青紙®」)が好まれて使用されています。しかし、高い硬さを持つものの、耐食性に課題がありました。一方、主に家庭用包丁の材料として好まれるステンレス鋼は、高い耐食性を示すものの、硬さに課題がありました。このため、従来の刃物用鋼では硬さと耐食性を両立することは困難でした。

 プロテリアルは、強みである金属を中心とした組織・組成制御技術を駆使することで、硬さと耐食性を高い次元で実現し、さらには優れた研削性(研ぎやすさ)も持つ刃物鋼「藍紙」の開発に成功し、生産技術と量産体制の確立に取り組んでまいりました。

2.概要

 この度、プロテリアルでは、高い硬度と耐食性を兼ね備え、優れた研削性(研ぎやすさ)も持つ画期的な刃物鋼「藍紙」シリーズのうち「藍紙2号」について、生産技術を開発するとともに安来工場において量産体制を構築し、販売を開始いたしました。包丁の材料として使用することで、プロの料理人が望む切れ味を持ちながら、さびにも強い高級包丁の実現に貢献します。さらに試作評価中の「藍紙1号」を含めた「藍紙」シリーズの高い特性は、調理用だけではなく切れ味とさびにくさが同時に要求されるアウトドアナイフ、カミソリ替刃、医療用メスなど幅広い用途においても発揮され、優れた性能が期待できます。

 藍紙は、炭素鋼でもステンレス鋼でもない、新しいジャンルの刃物鋼です。藍紙の販売開始により、高級包丁の素材としても業界を代表するブランドであるヤスキハガネ®のラインアップに新たな歴史を刻みます。

3.特性

 藍紙1号は、ステンレス鋼SUS440Cよりもさらに高い硬さと、ステンレス鋼SUS420J2並みの高い耐食性を兼備します。藍紙2号は、青紙2号同等以上の非常に高い硬さとステンレス鋼GIN®3並みの耐食性を有します。藍紙1号は耐食性を重視したスペックであり、藍紙2号は硬さ(切れ味)を重視したスペックとなります。

 なお、藍紙は、一般的なステンレス鋼とは異なる特性のため、使用環境や取扱方法、製造方法によっては錆びが発生することがあります。

図:耐食性と硬さ
表:鉄を除く主要成分(C:炭素、Cr:クロム、Mo:モリブデン、W:タングステン)と用途
鋼種名 C Cr Mo W 主用途
藍紙®1号 非公表 高級包丁、アウトドアナイフ、カミソリ替刃、医療用メスなど
藍紙®2号 高級包丁、アウトドアナイフなど
GIN®5 0.7 13 - - カミソリ替刃、包丁、医療用メス
GIN®3 1.0 13 - - 包丁、はさみ
青紙®2号 1.1 0.3 - 1.3 高級かんな、高級包丁、かま
白紙®1号 1.3 - - - 高級包丁
ATS®34 非公表 カスタムナイフ
SUS420J2 0.3 13 - - 包丁、ナイフ、はさみ、医療用メス
SUS440C 1.0 17 0.5 - 包丁、ベアリング

4.生産拠点

 株式会社プロテリアル 安来工場(島根県安来市)

以上

  • HV:ビッカース硬さ。硬さを示す尺度として一般的に使用される。

【報道機関からのお問い合わせ】
コミュニケーション部 担当 南、井上 TEL 050-3664-9519

藍紙、青紙、GIN、白紙、ATSは、株式会社プロテリアルの登録商標です。