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「金型の長寿命化に貢献する高性能表面処理」が
令和7年度 中国地方発明表彰「文部科学大臣賞」を受賞

2025年10月29日
株式会社プロテリアル

 株式会社プロテリアル(以下、プロテリアル)の、「金型の長寿命化に貢献する高性能表面処理」(発明者:本多 史明)が、公益社団法人 発明協会主催の中国地方発明表彰において、最高位にあたる「文部科学大臣賞」を受賞しました。

1.特許名称

金型の長寿命化に貢献する高性能表面処理
(発明名称 「摺動特性に優れた被覆部材」 特許第6015663号)

2.受賞

「文部科学大臣賞」
プロテリアル 特殊鋼事業部 安来工場 加工部 新素材グループ 技師 本多 史明

3.背景

 金属表面に皮膜をコーティングする表面処理は、金型や自動車部品の強度・耐久性・摺動性を高める有効な技術であり、金型に適用した場合は、金型の寿命を大きく向上させることが可能です。
 近年は、高張力鋼板(ハイテン)など被加工材の高強度化や加工精度の向上、成形サイクルの高速度化により、金型の負荷が増大しており、表面処理の重要性はより一層高まっています。しかし、本発明以前の表面処理では、使用条件によっては、突発的なカジリ※1が発生し、金型寿命が低下することが課題となっていました。

4.概要

 本特許の発明者は、金型の過酷な使用環境下での突発的なカジリが、金型材に由来する金属粉および摺動中に発生する摩耗粉の金型への付着に起因することを発見し、その付着を抑制し、長時間金型を使用しても優れた摺動性が発揮される手法について研究しました。その結果、冷間から温熱間の広範な使用環境において優れた摺動性を発揮し、カジリを抑制できる最適な元素構成と皮膜構造を持つ表面処理を発明しました。
 この表面処理では、金型の表面に、クロム系窒化物皮膜とバナジウム系窒化物皮膜を交互に積層した交互積層皮膜(A層)と、A層の上層に被覆したバナジウム系窒化物皮膜(B層)からなる硬質皮膜を形成します。この硬質皮膜構造は、金型の使用環境下において皮膜表層に生成する低融点酸化物の作用により、カジリ損傷の原因となる被加工材の局所的な凝着や摩耗粉の噛み込みを抑制し、金型の寿命を向上させます。

Tribec® ロゴ

 プロテリアルは、金型に求められる高い摩耗性、優れた潤滑性、耐熱性などを実現する複合PVD※2技術を駆使した独自の高機能表面処理 Tribec®(トライベック)を展開しています。本発明は、そのTribecシリーズの一つTribec炬(かがり)として実用化し、金型の寿命向上に大きく貢献しています。

以上

  1. ※1カジリ:振動や摩擦などにより、予測困難な局所的な焼き付き(摩擦による発熱で表面が荒れたり、摩擦面が溶着したりすること)や損傷が突発的に発生すること。
  2. ※2PVD:真空中でチタンやクロムなどの金属を被加工材の表面に物理的に付着させコーティングを形成する方法。

【報道機関からのお問い合わせ】
コミュニケーション部 担当 井上 TEL 050-3664-9519

Tribecは、株式会社プロテリアルの登録商標です。