カーボンニュートラルの実現に向けて、今後さまざまなモビリティ（移動能力、移動手段）の電動化が加速していくことが見込まれています。その中で、次世代のモビリティとしてeVTOLへの関心が高まっています。eVTOLに使用されるモーターとして小型化・高トルク化が進められており、これに対応するモーターコア材料が求められています。

　プロテリアルが製造、販売するパーメンジュールYEP-2Vは、鉄(Fe)とコバルト(Co)を50％ずつ含む合金をベースとし、加工性を高めるためにバナジウム(V)を2%添加したもので、Fe-49Co-2Vと表記されるパーメンジュールとしては代表的な組成のものです。モーターコア材料として注目されてきた高特性電磁鋼板（高特性な無方向性電磁鋼板）と比較して飽和磁束密度が高く、同じトルクを出すのに必要な電流（印加電流）を抑制可能という特長を持ち、特にモーターの高トルク用途において高特性電磁鋼板製モーターコアよりも、小型軽量化や高エネルギー効率化(発熱対策)が可能です。また、モーターコア材料として主流の一般的な無方向性電磁鋼鈑対比では上記に加えて鉄損が小さいという特徴もあり、より高い効率向上が可能です。

　プロテリアルは、関心が高まるeVTOLのモーターに着目し、コア材料として特性が優れるパーメンジュールYEP-2Vの評価を行うことにしました。プロテリアルにおいて、パーメンジュールYEP-2Vを材料とするモーターコアを設計、試作^※し、eVTOLでの使用を想定したモーター（eVTOL模擬モーター）に実装して、実証試験を行いました。その結果、高特性電磁鋼板製モーターコアを実装するモーターと比較して、同電流値におけるトルクが14％高く、同トルク値における電流値は14％低くなることが実証できました。また同トルク値では、低電流になるため発熱量も少なくなりモーターの温度上昇が抑えられ、エネルギー効率も高くなることが確認できました。（3．評価モーター仕様および結果を参照ください。）

　プロテリアルは、eVTOLのモーターコア用材料として、パーメンジュールYEP-2Vの優れた特性が実証試験において確認できたことから、eVTOLモーターコア用としての提案を本格的に開始することにいたしました。さらにeVTOL以外にも小型軽量化、高トルク化が求められるモーター向けにパーメンジュールYEP-2Vの提案を積極的に行い、お客さまとの協創により、量産化に向けた取り組みを進めてまいります。

　プロテリアルは、モーター関連では、パーメンジュールYEP-2Vのほかアモルファス合金Metglas™、ネオジム磁石NEOMAX^®、フェライト磁石NMF^®、磁性楔、エナメル線などモーターの高性能化のニーズに応じた最適な材料、ソリューションを提供し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。なお、2025年7月23日～25日に開催されるテクノフロンティア2025（於 東京ビッグサイト）の当社ブース（ブース番号1-T03）にて、パーメンジュールYEP-2Vをはじめとするモーター関連技術・製品を展示いたします。

　特殊鋼事業部　安来工場　（島根県安来市）