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半導体用導電性Ni-P微粒子のめっき技術を開発

2025年2月6日
株式会社プロテリアル金属
株式会社プロテリアル

 株式会社プロテリアル金属(所在地:大阪府吹田市、社長:権代晃一、株式会社プロテリアル100%子会社、以下プロテリアル金属)は、半導体チップと基板を接続するためのバンプ(突起)などに使用される導電性Ni-P(ニッケル-リン)微粒子に銀(Ag)、銅(Cu)、低融点はんだなどをめっきする技術を開発し、めっき付きNi-P微粒子を製品ラインアップに加えました。めっき付きNi-P微粒子は、従来の特長であった耐熱性を維持しながら低抵抗化を実現し、半導体の高機能化・低消費電力化に貢献します。

1.背景

 スマートフォンやタブレットは、AI機能の搭載など高機能化が進んでおり、電気回路での信号伝達のさらなる高速・大容量化が求められています。これに伴い、半導体チップやデバイスにも低抵抗化、耐熱性向上が求められており新たな実装技術の開発が進んでいます。最近では、半導体を高性能化するため、より大規模な回路を、より微細な加工技術で形成するようになっています。その際、歩留まり低下を防ぐため、小さな半導体チップを作り、それを集積して大規模回路をつくるチップレットと呼ばれる技術が注目されています。

 このチップレット集積技術では、チップ同士を接続したり、チップと基板を接続する必要があります。そのため、接続部分の低抵抗化が可能となる新たな接合部材(実装接合部材)が期待されています。

 プロテリアル金属では、耐熱性など優れた特徴をもつ導電性Ni-P微粒子に、低抵抗特性を付与し、新たな実装接合部材として適用するために、さまざまな材質のめっきを施す技術を開発してきました。

2.概要

写真1. はんだ/Sn-Biめっき品の走査電子顕微鏡(SEM)写真

 プロテリアル金属は、これまで接合部材として導電性Ni-P微粒子を開発、製造してきました。このNi-P微粒子は、粒径1~30μmのものが製造可能で、耐熱性、均一な粒径(図参照)、高い真球度、高い硬度を特長としています。これまでもめっき品として、高耐食のニーズに応えるため金(Au)めっき品を保有していましたが、低抵抗化には限界がありました。そこで、プロテリアル金属はAu以外の材質をめっきできる新たなめっき技術を開発しました。

 この技術により、導電性Ni-P微粒子に抵抗値が低い銀(Ag)めっき、銅(Cu)めっきを行うことが可能となり、体積抵抗率について、金めっき付きNi-P微粒子と比較して銀めっき付きNi-P微粒子で約1/5、銅めっき付きNi-P微粒子で約1/9(表参照)とし、電気回路での信号伝達のさらなる高速・大容量化に対応できるようにしました。また、低融点はんだめっきを行うことも可能になり、はんだ付けによる接触面積の拡大と金属接合による低抵抗化も可能にしました。

 これらのめっきは、従来のNi-P微粒子の特長であった耐熱性、均一な粒径(図参照)、真球度は維持したままで施すため、接続面の平坦度維持と適切なギャップ(すきま)形成は従来のNi-P微粒子と同レベルで可能です。さらに、高い硬度を持つNi-P微粒子をコアとすることから、シリコン基板やガラス基板などと半導体チップの接合(実装)に役立つことが期待されます。

 プロテリアル金属は、これらの特長のあるめっき付きNi-P微粒子によって、半導体およびその関連製品の高機能化・低消費電力化に貢献していきます。

3.特許

 めっき技術に関して4件の特許を出願済み

4.製造

 株式会社プロテリアル金属 鹿児島工場

写真2. めっき付きNi-P微粒子
中央がめっき無し、左が銀めっき、上が金めっき、下が銅めっき、右がはんだめっき
表. Ni-P微粒子の特性
めっき種類/Types of plating なし
None

Au

Ag

Cu
はんだ
Sn-Bi
体積抵抗率/Volume resistivity(×10-5 Ω・m)※1 21.1 0.6 0.13 0.07 0.5※2
融点/Melting point (℃) - - - - ≒160
  1. ※1体積抵抗率は、粒径・めっき膜厚・接合状態により変化します。
  2. ※2はんだの体積抵抗率は、はんだ付け前の値です。
図. 導電性Ni-P微粒子のAgめっき前後の粒度分布

以上

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