製品

太径0.4mm放電加工用電極線「HBZ-B40」シリーズの開発
~ワイヤ放電加工速度と面精度※1の向上に貢献~

2024年10月30日
株式会社プロテリアル

 株式会社プロテリアル(以下、プロテリアル)は、被削材の放電加工速度と面精度を向上させる直径0.4mmの太径放電加工用電極線「HBZ-B40」シリーズを開発しました。自動車用の大型金型や航空機、発電用タービン部品、金属積層造形材などの大型部品のワイヤ放電加工ニーズが増えるなかで、加工時間のさらなる短縮要望にお応えします。

 HBZ-B40シリーズは、2024年11月5日(火)から東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2024」(第32回日本国際工作機械見本市)に、「HBZ-B40」シリーズの開発パートナーである株式会社牧野フライス製作所(以下、牧野フライス製作所)ブースに出展します。

1.背景

放電加工用電極線ラインアップ

 近年、xEVや航空機などの需要増大や生産性向上の取り組みに伴い、金型加工や部品加工における被削材の大型化や厚板化が進んでいます。相対的に加工時間も長く、加工の難易度も高くなることから、ワイヤ放電加工速度と面精度を向上できる太径電極線のニーズが高まっています。

 現在、日本国内で一般的な電極線の線径は加工機の制約上0.1~0.3mmです。これまで太径とされた0.3mmの破断荷重では、大型被削材の加工や加工時間の短縮のために電極線に大電流を流すと、熱による断線が多発し効率の良い加工が行えませんでした。また、近年は、仕上げ加工における面精度の向上(表面粗さの低減)が求められており、加工時間短縮と面精度の向上の両立を図るためには、線径アップに加えて、放電性能を高める必要がありました。

2.概要

従来径φ0.25mm 開発径φ0.4mm
従来径との線径比較

 プロテリアルは、放電加工用電極線において長年の実績があり、現在の主流である高亜鉛黄銅(Cu60%/Zn40%)「HBZ-U」をいち早く開発し、市場に提供してきました。プロテリアルはこの技術を発展させ、HBZ-Uの黄銅成分をさらに高亜鉛化した高亜鉛黄銅(Cu57%/Zn43%)「HBZ-B」を0.4mm径に適用した「HBZ-B40」シリーズを開発しました。

 線径を0.4mmとしたことで、一般的に使用される線径0.25mmに対しては、約2倍の破断荷重を実現しました。また、亜鉛の割合を増やしたことにより放電効率および放電性能が向上しました。その結果、同径0.4mmの従来材対比で加工速度が10%増の高速加工を可能とし、加工面の表面粗さも約7%低減させる高精度加工を実現し、面精度が向上しました([実証実験] 牧野フライス製作所 協力)。

[材質]
仕様\品名 HBZ-B(新規適用材質) HBZ-U(従来材質)
線径(mm) 0.4 0.4
線径公差(mm) +0、-0.002 +0、-0.002
組成(%) Cu57/Zn43 Cu60/Zn40
母材組織※2 α+β相(β相多い)
α+β相

[実証実験](牧野フライス製作所 協力)

加工速度(㎜/分):加工速度10%向上。 表面粗さRz※3(μm):表面粗さ7%低減。

 今後プロテリアルは、このHBZ-B40シリーズを、適用可能な加工機を取り扱う牧野フライス製作所と協力して、国内外に展開していきます。なお、HBZ-B40シリーズは2024年11月5日(火)より東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2024」において、牧野フライス製作所の展示ブースにて出展予定です。

HBZ-B40シリーズが適用可能な加工機「U6H.E.A.T」
(画像提供:牧野フライス製作所)
ボビン形状のHBZ-B40
(HBZ-B40は加工機外部に設置されます)

3.特許

出願済み

以上

【お客様からのお問い合わせ】
電線事業部 担当 芝 TEL 0294-42-5510

【報道機関からのお問い合わせ】
コミュニケーション部 担当 車谷 TEL 080-2108-0159

  1. ※1金型によって成形される完成材表面の鏡面性、なめらかさの度合い。
  2. ※2α相は軟らかく加工が容易であるが、β相は硬く加工が困難。亜鉛含有量が高くなると放電性に優れるもののβ相比率が高くなり電極線製造が困難となるため高度な組織制御技術と伸線加工技術が必要。
  3. ※3表面粗さを定義する一般指標で、「JIS B 0601 : 2001」における粗さの最大値を測定した基準。