研究

マテリアルズ・インフォマティクスのプラットフォーム
「D2Materi」を開発

2023年11月20日
株式会社プロテリアル

 株式会社プロテリアル(以下 プロテリアル)は、独自のマテリアルズ・インフォマティクス(Materials Informatics、以下MI)のプラットフォーム「D2Materi(ディーツーマテリ)」を開発しました。「D2Materi」は、材料特性の予測と新素材の設計において、これまで前例が少なかった金属材料も含めて、蓄積したデータから材料の性能と組成・プロセスなどの相関関係や法則、特徴を抽出して設計を行う先進的な手法(データドリブンアプローチ)であり、お客様のニーズに応える材料の開発加速に貢献します。

1.背景・概要

 MIとは、統計分析や機械学習といったインフォマティクス(情報科学)の手法を取り入れることにより、材料開発の高効率化をめざす技術です。近年の情報科学の進歩に伴い、従来の試行錯誤や手作業を中心としていた手法に加えてMIを取り入れることにより、材料開発を加速させる試みが各国でさかんに行われています。

 プロテリアルは、「金属を中心とした組織・組成制御技術」と「広範なお客さまとの強固な関係性」という2つの強みを、相乗効果を伴って発展させていくなかで、新しい材料領域への挑戦や新市場への展開をするとともに、お客様を拡大してきました。そこにMIを加えることで、高強度、しなやかさ、軽量、高耐久性、豊富に存在する元素の優先的利用といったお客様のニーズを満たす製品を、より短期間に低コストで開発できる可能性が高まります。そこで、プロテリアルは、これまで蓄積してきた組織・組成制御技術、学術的知見をベースにしてMIの開発を行うことにしました。その結果、金属材料も含めて多様な特徴量*1を抽出可能で、生成AIも活用できるMIのプラットフォーム「D2Materi」を開発しました。

2.「D2Materi」の特長

1)多様な特徴量を抽出

 金属材料の性能を決定する金属組織は、材料を構成する成分やその分量といった組成だけでなく、製造プロセスにも影響を受けて変化します。従来、製造プロセスや金属組織の情報はデータベース化されておらず、機械学習モデルの特性予測精度が低いという課題がありました。「D2Materi」は、製造プロセスや組織をデータベース化し、プロテリアル独自の組成とプロセスの組み合わせで作り出される多様な特徴量を抽出することが可能であるため、複雑な条件によって定まる材料の特性や性能を定量化することができます。これにより、トレードオフの関係にある複数の特性を有する材料の性能の底上げや、革新的な新材料開発における仮説検証のための実験・試作・評価を効率化することができます。

2)生成AIを活用した材料設計モデルの構築

 「D2Materi」は、生成AIを活用した独自のアルゴリズムを活用することが可能で、外挿*2精度の向上が期待できます。このため実験によって得られた既知のデータのトレンドから、未知のデータの値を予測できます。また、従来の実績にとらわれない新たな特性や特徴を持つ材料を製造する条件の予測にも優れていることから、革新的かつ高性能な材料の設計や開発が可能です。

既知のデータから未知のデータを予測するイメージ
既知のデータから未知のデータを予測するイメージ

3)AIモデルによる文献・特許データの直接抽出

 「D2Materi」はAIを活用し、膨大な材料文献や特許文書などの情報源から求めるデータを高精度で抽出することが可能です。材料に関する情報を自動で効率的に収集し、研究開発の基盤となる知識を獲得することが可能です。

 プロテリアルは、「D2Materi」の活用により先端材料の開発を加速し、低燃費・省エネルギー化、脱炭素といった社会課題の解決に貢献してまいります。

以上

  1. *1特徴量:データのうち対象物の特徴を表し、予測の手掛かりとなる数値
  2. *2外挿:既知の数値データをもとに、データ範囲外の条件で予想される数値を求めること

【報道機関からのお問い合わせ】
コミュニケーション部 担当 工藤 TEL 080-5971-1116

D2Materiは、株式会社プロテリアルの商標です。