ABOUT WORK
K.Y.
グローバル技術革新センター デジタル開発部
マテリアルズインフォマティクスグループ
- 職種
- 研究開発
- 入社
- 2019年新卒入社
- 専攻
- 機械工学
PROFILE
将来のキャリアにおいて軸になるものを持ちたいという考えから大学院の博士課程を修了。在学時には燃料電池触媒層について研究を行う。就職活動当時から材料開発分野ではマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の潮流があり、時を同じくしてグローバル技術革新センターを設立したプロテリアルに対しては研究開発に注力している企業という印象を持ち、入社を決める。
マテリアルズ・インフォマティクスとは統計分析や機械学習などの情報科学を用いて材料開発の高効率化をめざす取り組みであり、デジタル技術の発展にともなって世界中でマテリアルズ・インフォマティクスの動きが活発化しています。プロテリアルでもデータ駆動型の材料開発技術の構築に注力しており、独自のマテリアルズ・インフォマティクスのプラットフォーム「D2MateriTM(ディーツーマテリ)」を開発しました。
私自身の担当業務もまさしくマテリアルズ・インフォマティクスの領域に位置づけられるもので、現在は、シミュレーションや機械学習などを用いた材料探索や物性予測、および物性メカニズムの解析に取り組んでいます。私は在学中から原子・分子スケールのシミュレーションに携わっており、現在もその知見を活かしながら、ミクロな現象の描像をコンピューターの仮想空間上で模擬して解析を行っています。特に近年、シミュレーションにおいても人工知能(AI)の活用が盛んになっています。シミュレーションには時間がかかりますが、AIによる予測を取り入れれば、より効率的に結果を得られるようになります。計算時間の短縮およびシミュレーションやAIの活用による実験回数の削減は省電力にもつながるため、低炭素社会の実現に向けても意義のある取り組みだと考えています。
シミュレーションの知見は私の強みではありますが、解析したい内容によっても手法は異なり、さらにはAIを活用した画像生成などのデジタル技術も急速に進歩しています。既存の強みを活かしながらも、新しい技術や他分野の知識についても学習を続けているところです。
材料開発におけるシミュレーションの活用はメリットの大きい取り組みです。しかし、シミュレーション全般に通じる課題として、仮想空間上のモデルと現実との差異が挙げられ、どの程度まで許容するのかは難しい判断になります。そこで重要となるのは実際の実験結果との比較です。実験担当者と連携してデータを共有し、仮想空間上で予測した結果とリアルの実験結果を比較しながら解析の精度を高めていきます。
私が他部門との連携において大切にしていることは「相互理解」です。研究所内や製造部門にはさまざまな専門性を持った人たちがいますが、シミュレーションに馴染みのある人ばかりではなく、解析に関する条件や結果については相手の立場に立った説明が必要です。また一方で、私自身が他分野の知見から新鮮な発見を得られることも少なくありません。専門分野の違う多様な人たちと関われる点は、プロテリアルで働く魅力のひとつです。
学術的な成果にとどまらず
より広い価値を創出したい
プロテリアルには新しい知識を吸収し、実践できる機会が豊富にあります。私自身の例としては、以前、熱流体シミュレーションを用いた生産設備の設計に関わったことや、自ら実験テーマを立案してチームの組織やテーマの遂行にまで携わったこともありました。その時には実験や分析はほぼ未経験ともいっていいレベルでしたが、材料開発のメンバーからも多くのアドバイスをもらいながら実験を進めることができました。主体的に学べる機会が多いということは、業務を進める上での大きなモチベーションにもなっています。
研究者としては、現在の担当テーマに関して学会発表や論文投稿などの学術的な成果につなげることを当面の目標にしていますが、その成果を学術的な価値にとどめることなく、社会的な価値につなげたいとも考えています。そのためには、新しい技術の活用や普及を広く促進し、新材料を創出するための体系の構築や増強も欠かせません。取り扱う製品が多岐にわたり、幅広い業界の発展に貢献できるのはプロテリアルの特徴でもあるため、私は現在の業務を通じて、学術面と産業面の発展に両面から貢献していきたいと考えています。