Proterial, Ltd.

[低ロス]極める

超低損失Fe基アモルファス合金 MaDC-A®

[低ロス]を極めるイメージ

小部屋に区切って
効率よく

パワーエレクトロニクス営業部

三枝 剛志

このMaDC®という製品は、当社の磁区制御型材料の商標で、「磁区制御」の英語表記であるMagnetic Domain Controlledの頭文字をとったものです。高周波電源用のコアなどに使われるソフトフェライト材料のMaDC-F®と、変圧器のコアに使用される鉄(Fe)基アモルファス合金のMaDC-A®があり、今回の出展はMaDC-A®の方です。
磁性体というのはミニ磁石の集まりです。その磁石と磁石の間を「磁区」というのですがその磁区を制御し小さく分けることで磁壁の移動速度がゆっくりで済み、損失を少なくすることができるのです。わかりやすく言うと、大部屋を走り回ると疲れるけど、小部屋で小さく動けば疲れない、ということでしょうか。その磁区を効率よく制御する方法が難しかったのですが、当社では2020年、レーザー技術を応用して量産にも対応する制御技術を確立しました。

[低ロス]を極めるイメージ

「現場発」の技術。まだまだ進化中

実はこの材料、もともと、低損失を狙って開発された製品というわけではなく、当社がアモルファス合金の品質安定化をめざしていろいろとモノづくりしていく中で生まれた「現場発」とも言える製品。弛まぬ努力が産んだ、と言っても過言ではありません。
電磁鋼板という変圧器用コア材の主流があるのですが、それと比べてアモルファス合金はそもそも無負荷時の損失が1/3〜1/5という材料です。今回出展するMaDC-A®は、従前の当社アモルファス合金からさらに25%程度損失が減るという特性があります。
地球温暖化が深刻化する現在、海外などでは企業にも、いわゆるライフサイクルコストに相当するTOC(Total Owning Cost:総保有コスト)という指標が取り入れられています。目先のイニシャルコストだけでなく、設備やシステムにかかる購入から廃棄までのコストを考えるということです。イニシャルコストは電磁鋼板の変圧器よりもやや高価ですが、アモルファス変圧器に置き換えるだけでCO2排出量削減および稼働費の低減に効果があります。オフィスビル、商業施設およびマンションなどの集合住宅等のビル内配電用の変圧器や柱上変圧器、地上設置配電用変圧器など比較的負荷が中規模から小規模の変圧器用途で力を発揮する材料です。ぜひ、導入を検討いただければと思います。

[省エネ]極める

冷水供給機器「チルドタワー®」 

[省エネ]を極めるイメージ

自然の力を利用して
省エネを実現

配管機器統括部

平田 英利

チルドタワー®は、冷却塔とチラーを縦積みに一体化したもので冷水を工場内の設備に供給するための装置です。同じような機能の製品としてチラーがありますが、チラーは電力消費の大きな圧縮機が常に稼働する必要があります。一方、チルドタワー®は、夏の暑い時はチラーを稼働させますが、それ以外は冷却塔を用いて外気冷却のみで冷水を作り出すフリークーリングが可能なため、冷水の供給温度が20℃の場合、チラーの稼働は4か月程度で済むことになります。
空冷と水冷があり、お客様のニーズに合わせてどちらをご提案するかが決まります。水冷の場合は空冷よりも省電力となりますが、空冷は水を使用しないため水質管理の手間がかからないという特長があります。

[省エネ]を極めるイメージ

データセンター、サーバールーム空調用に引き合い増加

発売から30年間。工場の設備冷却を中心に採用されてきましたが、ここ数年、省エネ性が高いという点が注目され、電力問題で悩むデータセンターや大学の研究機関に採用されるケースが増えています。データセンターの空調やスーパーコンピュータの冷却にチルドタワー®の得意な20℃前後の冷水を利用して電力消費を抑えようという事例です。
都心のテナントビルでチラーの代替として導入された例もあります。高層ビルの屋上に設置するにあたり、一体のままでは搬入できないので、チラーと冷却塔を分割して運び込み、現場で組み立てました。サスマ展では、チルドタワー®の模型も展示しますので、ぜひ会場に足をお運びください。

[粉末]極める

積層造形用耐食合金粉末 ADMUSTER®Cシリーズ

[粉末]を極めるイメージ

「加工が難しい」。
だからこそ、3Dプリンターの出番

AMソリューションセンター

足立 創
加賀谷 祐輔

当社の金属材料粉末ADMUSTER®には用途によって7つのシリーズ展開があり、今回は、耐食性に優れたCシリーズを出展します。
同じブースには耐食材料のMAT21®も展示されています。この材料を3Dプリンター用に仕立てたのが、今回イチオシのC21Pです。MAT21®はそれだけでもすばらしい材料ですが、これを「粉末で扱う」というところに味噌があると思っています。どういうことかと言うと、C21Pは耐食性が高いとされるニッケル(Ni)ベースの合金です。ところがNi系の材料は加工が難しいんです。だからこそ、3Dプリンターの出番です。
サステナブルなポイントは、まず、切削加工ですと塊から削り出し、削りかすは使えませんが、3Dプリンターでつくる積層造形は必要な分だけ盛り付けていくので材料を無駄にしません。在庫の面でも必要な時に必要な分だけ作ればいいので管理コストも削減できる。しかも耐食性の高い材料でつくることで、部品の長寿命化ができ、交換を減らすので、余計なエネルギーを使う必要がありません。

[粉末]を極めるイメージ

仕様すり合わせに力をかける、材料メーカーとしての矜持。

用途は、化学プラントや半導体製造装置の部品など、耐食環境が厳しくても頑丈でなくてはだめ、というところです。3Dプリンターは図面さえあれば大抵のものは形づくることができます。しかし、我々は材料メーカーでもあるので、「この用途にはこの金属の方がおすすめです」とか「強度を保つには形状をこう変えましょう」など、つくったあとお客様がどう使いたいか、というところまで考えてご提案します。製作には仕様のすり合わせを含めて多くの場合1ヶ月ほどかかります。仕様を決めたあとは、造形と粗加工だけであれば1~2週間ほどで製品を納められますが、実はこの仕様を固める過程が最も濃厚な期間。一品一様、簡単な造形はひとつとしてありませんが、材料と造形の2つの面から、お客様のニーズや懸念点を一つひとつ潰しながら仕様を作り上げていくことになります。
今回出展するC21Pは耐食性を際立たせた材料です。C01Pは強度と耐食性のバランスがよく、C02Pは高温強度と水素脆化耐性が優れているなど、見た目は単に「粉」ですが、それぞれの材料に「個性」があります。会場に来ていただければ、それぞれの個性を直接お話しできます。ぜひ、皆様の抱えるお悩みを聞かせてください。材料で解決できるかもしれません。会場でお待ちしております。

[強さ]極める

高強度耐熱耐食合金MAT21®、MA23、MA47P、MCアロイ

[強さ]を極めるイメージ

さまざまな「強さ」を
突き詰めて材料を開発

産機材部

平松 昌敏

米国で開発された「ハステロイ※」という耐食性や耐熱性に優れた材料があります。弊社桶川工場は、以前、三菱マテリアルの生産拠点だったのですが、1961年にこのハステロイの生みの親であるヘインズ社とライセンス契約を結び、日本での独占販売と製造を担ってきました。現在ライセンス契約は切れていますが、MAシリーズとして製造販売を継続しております。今回ご紹介するMAT21®やMA47Pは、当社が独自で開発したもので、似たような材料は見当たらない特徴ある耐食/耐熱材です。MA23は高温強度が高いため製造難易度が高く、国内では、当社だけが製造できる耐熱材です。
また、硝フッ酸に強いMCアロイは当社が開発したオリジナルの組成。今回同じブースで出展するサイアロンの唯一弱いフッ酸に対してはMCアロイが使える。また、省資源型の耐熱合金は、耐食や耐熱を極めた今回紹介する合金よりも、 少し汎用性のあるポジションをカバーしているなど、社内で得意分野を持ち寄ればお客様のお悩みを満遍なく解決できそうです。
自分の会社ではありますが、これだけ材料で幅広い分野で知見を重ねている企業はそうはない。材料そのもの、というより、その知見を極めてお客様の欲しい機能を提供するというあり方が、当社の役割なのかもしれません。

※「ハステロイ」はヘインズインターナショナル社の登録商標です。

ハステロイの耐食性をさらに改良したのが当社オリジナル合金「MAT21®」です。ニッケル(Ni)ベースで、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)、タンタル(Ta)を入れることで耐食性を際立たせています。
腐食に強い材料として一般にはステンレスがよく知られていますが、医薬品や石油化学品の生産プラントなど、ステンレスがもたない環境というのがあります。具体的には、ごみ焼却プラントの排煙脱硫装置。硫化物など腐食性の高いガスが通る箇所に使用することができます。また、半導体製造装置の内部を洗浄するガスや液体に触れる箇所の部品など。とにかく、ステンレスの腐食が発生しそうなところはすべて、用途の候補と言えます。
私たちが直接、材料をお納めするお客様はプラント装置のメーカーさんが多いですが、材料の評価は、最終的にその装置を使うエンドユーザーさんに実施いただいています。その際、弊社でテストピースを回収して観察し、レポートを提出するといった技術サービスもやっています。

[強さ]を極めるイメージ

「MA23」は1000〜1150℃程度まで特性が落ちない、まさに「耐熱」合金です。高温引張強度が強く、熱膨張係数が小さく、耐酸化性も良好ということで、総合的に見て耐熱性が高い。用途としては工業炉部品。鉄鋼メーカーや自動車部品などで、熱処理炉をお持ちのお客様が対象です。
写真は、炉の温度を上げるためのラジアントチューブという部品です。このほか、炉の本体にも使われています。1000℃を超える環境の中でも強度が落ちない上に、もちがよいため、炉の中のメンテナンスが少なくできる点がメリットです。
この材料は特に浸炭や窒化という熱処理への耐性もあります。

[強さ]を極めるイメージ

金属材料は空気中で加熱していくと、酸化して表面が黒くなっていきます。この黒いものの正体はスケールと呼ばれる酸化物。これが剥がれて飛散して製品の上に付着すると、製品そのものが不良品になってしまいます。「MA47P」は耐酸化性に特化しスケールを出にくくした材料です。
ニッケル(Ni)ベースですが、アルミニウム(Al)やケイ素(Si)などが入っていて、母材の上にアルミナというAlの酸化皮膜を形成します。そのため酸化スケールが発生しにくいという特性があります。そこで、焼成炉などに製品を載せて運ぶトレイやメッシュベルトなどの材料として使用されています。

[強さ]を極めるイメージ

「MCアロイ」は、ニッケル(Ni)ベースの耐食性も耐熱性も両立させた合金です。
耐食性の中でも硝フッ酸に強い。金属に熱処理を施す酸化スケールが付着することは、先ほどMA47Pでもご説明したと思いますが、それを落とすために酸洗という工程が必要になります。その際に使う液体が硝フッ酸です。酸洗するプールのような設備があり、その設備自体も酸洗されてしまうので、ステンレスではもちません。そうした場所に使われる材料です。このほか、硝フッ酸を使用する熱交換器や、タンクにも使えます。
耐熱性という点に関しては、例えば重油加熱炉の熱電対、これは炉の温度を計る温度計のことですが、そのカバーに使われています。重油を燃やすと硫化物が出る。それにさらされるとサルファーアタックという高温腐食が出てしまう。こうした腐食に強いので重油を燃やすボイラーなどにも使えると思います。

[強さ]を極めるイメージ

[摩耗]極める

サイアロン製ダイカストスリーブ/サイアロン内蔵ボールバルブ

[摩耗]を極めるイメージ

金属材料で限界を
感じているならサイアロン

ロール営業部

福井 聡
長沼 諒

サイアロンというのは、一般に窒化ケイ素セラミックスの一種で、窒化ケイ素にアルミニウムと酸素が固溶したセラミックスです。当社のサイアロンは、鉄鋼を搬送するロールや、アルミダイカストの射出成形機の主要部品であるダイカストスリーブとして使われています。鉄やステンレスよりも耐摩耗性に優れているので、長寿命で、部品交換のために生産ラインを止める必要がないなどのことから、サステナブルな製品として評価されています。
今回出展するサイアロン内蔵ボールバルブは、バルブの内部にサイアロンを使用したものです。長年、当社のバルブ製造部隊では、水などに硬い異物がまじって流れてくることがあり、バルブに穴が開いてしまう、などの現象に悩まされていたそうです。そこで何か硬い材質はないか・・・と探索していたところ、同じ社内にサイアロンという耐摩耗性に優れた材質がある、ではそれを使ってみよう、という社内コラボでできた商品です。
こうした先例もあり、金属材料で限界を感じているお客様が他にもいるのでは?そうしたお客様にサイアロンを試していただきたい、と出展を決めました。

大物に強く別素材との組み合わせにもノウハウが

当社では、サイアロンよりも3倍以上の熱伝導率を持つスーパーサイアロンという材料もラインアップしています。急激に温度が上がる環境などには、放熱性が高く、耐熱衝撃性に優れるスーパーサイアロンが適しています。
また、サイアロンは熱変形もしにくい。この特性はお客様のところで使われるときはよいのですが、我々が製造するとき、たとえば鉄などの別の素材と組み合わせたダイカストスリーブなどをつくる際には、変形率の違いを考慮して設計・製造しなくてはならない。ノウハウが必要になります。当社は2200mm程度の大物品までつくることができますが、大物を組み合わせて、さらに大きいものをつくることもできる。別素材との組み合わせもできる。そういった当社ならではのセラミック技術を結集して、お客様の課題にお応えしていきたいと思っています。

[薄膜化]極める

高機能薄膜用ターゲット材(MVF合金/NVF合金)

[薄膜化]を極めるイメージ

サウナ環境でも
性能の落ちない高機能薄膜?!

安来工場 新素材工場

青木 大輔

ターゲット材というのは、液晶ディスプレイなどの配線保護膜として使われている金属です。中でも今回出展するのは、MVF、NVFという当社オリジナルの合金。MVFはMo-alloy for Versatile Film、NVFはNi-alloy for Versatile Filmの略です。それぞれベースとなる金属がモリブデン(Mo)だったりニッケル(Ni)だったりするのですが、それによって、MVFは耐湿性に優れ、NVFははんだ接合性に優れる、という特性を持たせています。
液晶ディスプレイは、ガラス面の上に導電性の高い銅を配線として形成しています。ただし、銅は酸化しやすく、酸化するとどんどん電気抵抗が上がり電気が流れにくくなってしまう。それを我々の提供する合金薄膜で覆うことで、酸化を防いでいるのです。しかもMVFは高温高湿の環境でも使えるものに仕上げています。だから、ミストサウナのような高温多湿の環境下でも当社の材料を使っていれば性能は落ちないかも(笑)!
電子機器は多機能であったり軽量を追求したり、常に進化していますよね。それに合わせて配線保護膜も進化している。配線自体が細く繊細に張り巡らされるようになっているんです。以前の配線の太さなら問題にならなかったようなケースでも環境に影響されて性能が落ちてしまう。当社の製品は、そうした課題を解決するために開発されたものです。

[薄膜化]を極めるイメージ

膜はもっといろんな用途で活用できる

NVFも配線基板などの銅配線を保護するために使われますが、はんだ接合性を強化してあります。基板上に回路を形成する際、電線同士をつなぐため、熱で溶かしてつなぐはんだ接合が必要となります。この接合を阻害しないように被覆できることがNVFの良さなのですが、もうひとつのポイントがあります。銅配線膜にLEDなど半導体を実装する製品の保護膜はめっきで形成される場合が多く、その場合、銅配線膜を形成するために真空チャンバーから出して、めっき処理をしなければならない。ところが、うちのNVFを使っていただければ、同じチャンバーの中で保護膜を形成することが可能になります。こうした合金は、お客様の要求にお応えするために開発してきたもの。ただ、特性のいいものはいろいろなお客様に知ってもらって、活用してもらいたいと思っています。
膜というのは、これまで使われている用途だけでなく、他にももっともっとお役に立てる場所があるのではないかと考えています。ですから、展示会ではいろんな業界のお客様と情報交換して、新用途を探索していければ嬉しいですね。この顔を見たら、気軽にお声がけください!

[薄膜化]を極めるイメージ

[電解]極める

アルミニウム電析技術

[電解]を極めるイメージ

「アルミめっき」という
新しい技術

グローバル技術革新センター
(GRIT)

松田 純一

アルミニウム電析技術とは、いわゆるアルミの電気めっき。展示会に出展したのは前回2021年のサスマ展が初めてという比較的新しい技術です。当社製品のコーティング技術を探索するなかで出会ったもので、長年研究を続けてきました。金・銀・銅などの、よく知られているめっきには水溶液のめっき液を使用しますが、アルミのめっきには非水液のめっき液、具体的にはジメチルスルホンという有機硫黄化合物を溶媒に使用します。有機系の溶媒というと環境に影響があるのでは?と思われがちですが、この物質は化粧品やサプリメントなどにも使用されており、それ自体は無害です。また、アルミめっき液にはRoHS指令やREACH規制の対象物質は含まれていません。当社ではパイロットスケールの設備を独自に構築し、非水系めっき液の取り扱いやめっき条件、設備の基本仕様等を明確にしてきました。当社の技術をお客様にお使いいただき、お客様の新製品・新事業開発に貢献したいと考えています。
昨年の展示会では「アルミってめっきできるの?」という声を多くいただきました。まだまだ認知度が低いのですが、ポテンシャルは高いと考えています。当社の技術では、緻密で耐熱性に優れた高純度のアルミ膜が成膜できます。成膜後、アルマイト(陽極酸化)処理をすることで、酸化皮膜ができ、基材の耐食性や耐久性の向上や、染色もできます。また、成膜後に基材から剥離することで、高純度と高強度を両立した新規なアルミ箔を作製することも可能です。

[電解]を極めるイメージ

製品の意匠性向上やLi-ion電池の正極集電体など、用途はアイデア次第で広がる

当社のアルミめっき技術は金属材料の表面に高純度のアルミを成膜できるので、アルミの持つ電気伝導性や熱伝導性などの機能を付与することができます。アルマイト処理の際には濁りのないきれいな発色が可能で、製品の意匠性向上も考えられますし、この技術で作製したアルミ箔はLi-ion電池の正極集電体などにも使用できるのではないかと。Li-ion電池の正極集電体には一般に圧延法で作製したアルミ箔が使われていますが、アルミめっき技術を使うことで薄い膜=薄い箔が作製できます。従来のアルミ箔にない特長を生かした新製品開発に貢献できると思います(当社実績膜厚7μm〜100μm程度)。
アルミめっき技術は比較的新しい技術で、多くの可能性を秘めています。その用途はお客様のアイデア次第で無限に広がります。めっき方法だけでなく、めっき液の取扱いや設備の基本仕様などまでご提案できるところが、私たちの強みだと思います。

[接合]極める

アモルファス箔ろう材

[接合]を極めるイメージ

接着剤の役割を担う
箔ろう材

パワーエレクトロニクス営業部

市橋 健司

金属同士を接合する手段として、ろう付があります。ろう付は、ろう材を高温で溶かして金属同士を接合する方法で、当社の製品は、アモルファス構造をした金属の箔状ろう材。いわば“金属の接着剤”ですね。ライバルはペーストろう材。これはバインダー(結合剤)に金属粉末を混ぜたものです。ろう付時には、ペーストに含まれるバインダーを飛ばす脱脂工程が必要ですが、箔ろう材はその工程が不要になります。また、箔ろう材は、薄いリボン状で、接合する面に予め置くため、少ない量で確実に接合できるのがポイントです。
国内ではペーストろう材の普及が早く、箔ろう材は後発製品です。ただ、箔ろう材を評価していただいたお客様からは、ペーストの脱脂工程で生じるボイド(空洞)が少なく、ろう付設備も汚れにくい、と肯定的なご意見をいただきます。また、箔ろう材はバインダーを含まないため、保管期間を長くできます。ペーストを作る工程で課題となる粉塵の問題も生じないので、生産に携わる人々の労働環境の改善にもつながり、SDGsに貢献する材料です。

[接合]を極めるイメージ

複雑形状のステンレス鋼の接合にはNi箔ろう材

形状が複雑な金属の接合では溶接が困難なので、ろう付の出番です。たとえば、自動車の燃費向上に不可欠な排ガスを再利用するシステムであるEGRクーラーという部品。EGRクーラーはステンレス鋼で構成されていますが、この部品の接合には、錆びにくく、高温に耐えるニッケル(Ni)箔ろう材が標準で使われています。欧州・米国市場でのNi箔ろう材の市場を見るとシェアの7割には当社の製品が使われているのではないでしょうか。現状、当社の箔ろう材の9割が海外での売上なので、日本国内においてももっとこの技術を知っていただきたいと思っています。
そこで、今私たちが特に注目しているのが、プレート式熱交換器。日本国内の給湯器メーカーさんが高効率の給湯器に相次いで採用されている部品です。部品の内部は、薄いステンレス鋼板を何層にも重ねた複雑な構造をしており、箔ろう材の活躍の場があると考えています。昨今の環境配慮の機運が追い風になるのではないかと思います。
私たちは、箔ろう材を納めるだけでなく、箔ろう材を使った場合の効率的なろう付方法、製品形状のご提案や評価も含めて対応します。ぜひ一度、箔ろう材をご検討ください。

[熱]極める

省資源型耐熱合金

[熱]を極めるイメージ

耐熱性に汎用性もプラス
してラインアップ

産機材部

伊達 正芳

同じ社内には、桶川工場で作られるニッケル(Ni)ベースの耐熱合金MAシリーズがあります。MAシリーズは特性を突き詰めた材料で、用途もプラント関係や発電所向けなど、ある程度絞られます。今回、こちらでご紹介するASL®などの材料は、安来工場で作られており、鉄(Fe)がベースでもう少し汎用性があり、自動車部品などに使用されています。位置付けとしては非常に特性の高いMAシリーズと、汎用のステンレス鋼の間を埋めるような材料ということができます。
ではどこが「省資源型」か?それはこちらの成分表をご覧いただければわかりますが、Alloy718などの汎用合金と比べて、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)をはじめ希少金属の含有量を抑えています。それでいて、特性は落とさずに、というところがこれらの材料のセールスポイントです。

合金名 Fe Ni Cr Mo Co Al Ti Nb
ASL®171 Bal. 41 15 0.7
ASL®619 Bal. 25 15.5 1.25
Alloy718 Bal. 53 19 3 0.5 0.8 5

(〇:添加、-:無添加)

お客様の使いやすい形で提供できるのも強み

もうひとつのセールスポイントが形状。通常、こうした材料は棒材や板で納められることが多いのですが、私たちは、シールリングであれば細線、ガスケットであれば帯形といった具合にお客様の使いやすい形にしてお納めすることができます。帯形、角線、平線、世の中にあまり出回っていない異形線などにも対応可能です。
自動車部品向けに限らず幅広い用途に展開できればと思い、今回出展することにしています。小ロットでも対応できますので、お客様の課題をお聞かせいただき、「こんなものつくりたいけどできるかな?」とお気軽にお声掛けいただければと思います。

[雪]極める

融雪マット

[雪]を極めるイメージ

雪を井戸水で溶かす
という新しい発想

桑名工場
配管機器ソリューションセンター

高田 栄治

雪を溶かす方法としては、まずは雪かき、水撒きなどが考えられますが、転倒などの事故が起こりやすいとか道路が水浸しになるなどの問題があります。電熱を使って融雪する場合もありますが、これは電気代が掛かかります。我々の開発した融雪マットは、井戸水を利用します。雪の多い地域は地下水が豊富です。地中にあるので水温も安定しています。その井戸水を使って雪を溶かすので、融雪に必要な電気代は送水ポンプの消費電力のみです。無散水だから水浸しにもなりません。融雪マットを地面の上に置き、井戸水をマットの中に循環させるとマット表面の温度が上がり、雪がとけていくというシンプルな仕組みです。

[雪]を極めるイメージ

私たちのモノづくり力で社会課題を解決したい

これは、水やガスの配管機器などを手掛けてきた桑名工場が持っている鉄道用や歩道用の融雪技術ノウハウを生かした製品です。そして、この製品の上を人が歩くので耐摩耗性も求められます。
長尺のマットが作れるので事業所内や公共施設などの歩行通路に導入いただくことを意図しています。歩行中あるいは雪かきなどをしていて毎年、転倒して負傷する方もいるとのこと、施設管理者の方は安全対策に腐心されていると聞いています。融雪マットは、そうした社会課題の解決に貢献する製品です。
私の所属している配管機器ソリューションセンターは、お客様やエンジニアリング会社様の課題を聞いて、それを解決する手段を形にする部署です。起点はお客様ですが、モノづくりは我々に任せてください、というスタンスで、日々いろいろな課題に向き合っています。

[吸着]極める

セラミックス吸着フィルタ

[吸着]を極めるイメージ

サステナポイント満載の
吸着フィルタ

桑名工場
配管機器ソリューションセンター

高田 英治

これは多孔質セラミックスをハニカム形状に成形したもので、塗布する薬剤によってさまざまな物質を捕捉することができます。今回ご紹介するのは、海水淡水化処理用に開発したフィルタ。工業廃水の水処理にも使用できます。
海水淡水化のシステムの中には、砂ろ過やUF膜(限外ろ過膜)などいろいろな前処理がありまして、最終的にRO膜(逆浸透膜)を通します。上水にするための最後の関所のような存在がRO膜です。ところが、生物の代謝物などの水溶性有機物はUF膜などではとれにくく、それをそのままRO膜に通すと、膜の表面で分離され、それを起点としてバイオフィルムと言われる有機物層が成長して膜が詰まってしまいます。そうすると膜を通すための圧力ポンプの電力も喰うし、洗浄などメンテナンスにも手間がかかります。ですから、その前に吸着フィルタを設置することで、RO膜の寿命を長く、膜洗浄にかかる薬液量を減らし電気代も節約することができるというわけです。

[吸着]を極めるイメージ

当社ならではのメリット、そのキーワードは「配管」

ろ過は小さい物質を捕捉するには膜穴を小さくする必要があり、詰まりやすくなるけれど、本製品はフィルタの壁面に塗布した薬剤によって物質が吸着される仕組み。そのため膜穴を小さくする必要がなく、水の通り道を塞ぎにくいのがポイントです。
また材質がセラミックスなので、耐薬品性があり、何回も洗浄して繰り返し使用できることがメリットです。当社は長年、水やガスの配管を作り続けてきたので流体や水処理に知見があり、水処理用の吸着剤についても、社内で開発しています。
水の世界は実績が重要視されますので、私たちは2017年からシンガポールの水処理や環境保全技術の開発機関であるNanyang Technological University のNEWRI(Nanyang Environment & Water Research Institute)との実証試験やシンガポール公益事業庁PUB(Public Utilities Board)の承認のもとでの実証試験を重ねています。