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Special
Session

育児休暇を取得した4名の社員が
休暇期間の重要性やキャリア観の変化、
そして今後について語り合います。

メンバープロフィール

  • S.H.

    品質保証本部 茨城品質保証部
    日高電線品質保証課

    2009年新卒入社

    新卒入社以来、産業ケーブルの製品検査や評価などの品質保証業務や設備立ち上げに関わってきた。最近では検査データのセキュア化などにも携わる。

    育休取得:1回 2024年4月~5月

  • I.Y.

    自動車部品事業部 自動車部品営業部

    2009年新卒入社

    海外グループ会社向けの部材輸出や、海外パートナー企業との設備輸出に関する売買契約業務などを担当。

    育休取得:2回 2020年2月~2021年3月/2022年9月~2024年4月

  • K.Y.

    安来工場 素形材部 鋼材グループ

    2019年新卒入社

    ダイカスト金型用鋼や航空機エネルギー関連材など特殊鋼製造の熱間加工における工程設計や品質管理を担当。

    育休取得:1回_2024年1月~3月

  • U.A.

    情報システム本部 運用開発部
    全社開発グループ

    2018年キャリア入社

    全社で利用するワークフローの立ち上げや開発(紙回覧の廃止および電子化)と運用を担当。

    育休取得:1回 2023年1月~2024年4月

育児休暇についての周囲の反応

I.Y.今日はよろしくお願いします。育児休暇をテーマに、ということですけど、みなさんはどんな流れで育休を取得しましたか?

S.H.私の場合、実は育休を取得しようと考えたときに「本当に休んでしまっていいのだろうか」と少しためらう気持ちがありました。ただ、ちょうど男性の育休取得が社会的に浸透し始めているタイミングでしたし、相談した上長に快諾をいただき、背中を押されて取得を決心しました。

U.A.周囲にいる男性社員の取得は進んでいますか?

S.H.そうですね。特に私よりも若い世代の方が積極的に取得を考えているようです。今回、座談会に参加するにあたって周囲のメンバーに話を聞いてみたのですが、実際に育休を取得している男性社員が何人もいると聞きました。

K.Y.私の場合、周囲に取得している男性社員がいなかったのですが、私が先例になったことで一緒に働くメンバーにも取得する流れが定着しつつあると感じます。

U.A.男性社員の先駆けとして、お二人がロールモデルになっていただいたことで、若手社員は心強いと感じているのではないでしょうか。I.Y.さんはどのように取得されたのですか?

I.Y.私の場合、周囲に取得している先輩が何人もいたので、特段気にすることもなく「取得することが当たり前」だと思っていました。私は産休・育休を2回取得しましたが、一人目のときに体調に波があり、混雑する通勤電車に乗ることが厳しいことを上司に相談したところ、通勤時間をずらしていただきとても助かりました。二人目の時も日々の業務を調整していただいたり、休暇に入るタイミングに気を配ってくださったり、とても理解がある環境だったと思います。

U.A.私の勤務地の部署では約20年振りの取得者だったらしく、周囲も私も初めての経験という状況でしたが、体調面で気を配っていただいて、ありがたかったです。

S.H.特に助かった制度やサポートはありましたか?

U.A.在宅勤務ができたことが大きかったです。妊娠当時はコロナ渦で在宅勤務が浸透していたタイミングだったこともあり、体調が落ち着かない時期に上司から「よほど大きな理由がなければ在宅勤務でいいよ」と言っていただきました。周囲の方々にも快く理解いただき、スムーズに休暇期間に入ることができました。

育児休暇を取得する意味

S.H.私が男性の育児休暇取得の先例になることで、若手社員から「S.H.さんのおかげで育休が取得しやすくなった」と言ってもらえたことは何より嬉しかったです。

K.Y.誰か一人でも周囲に実践している人がいると、良い影響が生まれますよね。私も育児のスタートから経験できたことで「子どもが風邪をひいたので早退します」と言われたときに「早く帰ってあげて」と強く思うようになりました。お互いを支え合うことで、働きやすい環境が醸成されていくのではと思います。
私とS.H.さんは育休を取得しましたが、女性の立場として、自身のパートナーに限らず男性に育休を取得して欲しいと思いますか?

I.Y.もちろん、ぜひ取得してほしいと思います。育児や家事への関わり方は家庭ごとに違いますが、それでも赤ちゃんの時期というのは一瞬一瞬が貴重ですし、一緒に過ごすこと自体、とても大切な時間になると思います。

S.H.意気込みすぎないように、「一緒に過ごす」ことを目的にするのはとても共感できます。
私の場合は出生時育児休暇※(通称:パパ育休)という制度を知り「1カ月であればハードルが低そう」と感じ取得することができました。
※ 配偶者または同性パートナーが出産予定の者で、出産休暇を取得していない者が取得することができる。予定日または出生日から8週以内(56日以内)で最大4週(28日)の取得が可能。

U.A.育休中はどのように過ごされたのですか?

S.H.基本的には妻のサポート役として、困りごとや悩みごとの相談相手になることが多かったです。1カ月という短い期間ではありましたが、いわゆる妻だけの「ワンオペ」だったらうまくいかなかったと感じますし、二人ではじめの子育てが経験できてとても良い時間を過ごせました。K.Y.さんは3カ月間取得したと聞きました。

K.Y.はい、年次有給休暇と組み合わせて取得しました。最初の1カ月はとにかく慌ただしく過ごし、2カ月目から少しずつ慣れていきました。夜泣きしない子だったのでとても助かりましたし、休暇に入る前に「食事を作る」と決めていたのですが、実際に実行できて、充実した日々を送ることができました。

育児を経験して変わるキャリア観

S.H.育休中は仕事を忘れて子育てに集中できましたか?

I.Y.集中できていたと思います。育休に入る前に引継ぎはできるだけ細かく行うことを心掛けましたし、引継ぎ相手に対する不安もなかったので、「あの仕事、どうなったかな」と思うこともありませんでした。

U.A.やはり事前準備は大切ですよね。私も育休に入る約4カ月前から引継ぎを少しずつ始め、私が主担当だった業務を後任の方が主導できる状態にまで準備することができました。育休中も起床時間の習慣化や離乳食の献立作りなど、復職後の生活リズムを整える準備をずっとしていました。

K.Y.逆に会社とのつながりを意識する場面はありましたか?

I.Y.2人目のときは会社の変革期だったこともあり、業務の変更点や新しい組織編成、人事異動など、メンバーから少しずつ情報収集していたので、自分だけ置いていかれる不安はありませんでした。

U.A.定期的に上司が社内の情報を送ってくれましたし、復職後に私は育休プチMBA®という制度※を活用しました。
※ ワークシフト研究所が提供する育休中および育休から復帰した方に特化したビジネス能力開発プログラムで、希望をすれば無料で受講することが可能。

I.Y.良い制度ですよね。ロジカルシンキングや復職後の業務効率向上を学ぶことができ、同時に育休者同士で交流する機会を持つことができます。実際に利用してみて、何か変化はありましたか?

U.A.仕事だけではなく子どものことを考える時間が増えたので、これまで以上にバランスを意識するようになりました。

I.Y.子どもが中心の生活に変化しますからね。「今日はこの仕事をやりたい」と思っていても、子どもの体調を優先しなければいけない日もありますし、今のバランスを考えると、今後のキャリアについてじっくり見つめることができていないと感じます。長期の育休を経た社員にどのようなことを求めているのか、期待しているのかを会社から示してもらえると、自分のゴールイメージをつくりやすいと思うようになりました。

S.H.人生の価値観自体が大きく変わるライフイベントを経験するわけですから、キャリアに対する考え方も変化して当然だと思います。私も以前は仕事で残業をしたり、生活のために働いている感覚も大きかったのですが、家族を最優先する考え方に変わり、今は少しでも早く仕事を終わらせて育児・家事に参加したいと思っています。

K.Y.私も退社時間を意識して日々スケジューリングするようになりました。18時から19時には家に着いて、子どもをお風呂に入れたりご飯を食べさせたり、あとは家事をできるだけ手伝えるようにしています。

I.Y.ところで、みなさんの充実したお話を聞いて1つ疑問に思ったのですが、さまざまな支援制度について、事前にどの程度把握していましたか?

U.A.正直、あまり把握していませんでした。産前は「いかに安全に出産するか」に集中していましたし、産後や復職後の「こういうときはこの制度が利用できる」というのは今でも把握しきれていない気がします。

K.Y.私もいざ取得するとなって調べ始めてから「1カ月間取得するなら出生時育児休暇、それ以上なら育児休暇」ということを初めて知ったくらいです。

I.Y.育休の期間について、プロテリアルでは最大3年間※取得できますが、別の会社に勤めている友人に話を聞くと最大1年間の会社が多く、制度が充実していることを改めて実感しました。
※ 子が小学校1年修了時までのうち3年を限度に、本人が申し出た期間取得が可能。

K.Y.期間については個々の都合にあわせて融通がきくことも嬉しいですよね。3年間という期間中であれば、事前に申請した期間よりも短縮したり長くすることもできます。例えば出産タイミングや自治体の制度、通う保育園の事情によって調整できます。

I.Y.私は実際に保育園への入所を早めたので、前倒しで復職しました。職場では「早く帰ってきてくれて助かるよ」と歓迎してくれた方もいて、私も嬉しく感じました。

よりよい会社をめざして

S.H.今回みなさんとお話するなかで改めて感じたのですが、私を含め「社内制度についてしっかり把握できていない」ということがまだ課題としてあるのではないでしょうか。

K.Y.そうですね。存在自体は知っていても、具体的な手続き方法や期間など、周囲に経験者がいないとわからないことも多く、結果として利用へのハードルがあがってしまうかもしれません。

I.Y.先ほどS.H.さんがおっしゃっていた「本当に休んでしまっていいのだろうか」と感じてしまう気持ちはとても共感できます。最大3年間取得しても、キャリアに影響がないことがわかれば「それなら私は、半年だけでも休もう」みたいな人がもっと増えるといいなと思います。

S.H.「こういう取得方法があります」「こういう活用事例があります」といったモデルケースをシェアしてもらえると、より理解が進みますよね。

K.Y.時間効率は、育児と仕事の両立で欠かせない意識ですからね(笑)。「制度や手続きについて、誰に聞けばいいのか何を見ればいいのか」がシンプルかつわかりやすいと、制度利用へのハードルがもっと下がると思います。そしてさらに「取りたいと思える雰囲気を作ること」ができるといいですよね。

U.A.今回は育休を取得した子育て中のメンバーで集まりましたが、ダイバーシティという観点でいくと、病気の治療や家族の介護など、社員それぞれがさまざまな事情を抱えている中で、お互いを支え合いながらも優しく心に余裕がある会社をめざしていけるといいのではと感じました。

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